舌が肥え、文体に凝るオヤジ
「食い物ブログを書くオヤジもすごい」と中川さん。「夜の帳が下りる頃、この街は活気を取り戻す」などと凝った書き出しで始まる傾向があるという。
「たぶん、川端康成の『雪国』とかの影響ではないでしょうか。『国境の長いトンネルを抜けると雪国であった』とか、ああいうふうに書かないと名文にならないと思っている。オヤジはなまじっか読書量が多いですからね。でも、ポエム的なブログを書く人はかなり舌が肥えた方が多く、写真も上手なので参考になりますよ」
中川さんが読んでいる食べ物オヤジブログは、「mariruuさん」が書く「さてと、今夜はどこ行く?」(以下に引用)。
タクシーだとワンメーターの距離も、歩いてみれば遠かった。
川沿いの道を歩いている時点で、マリイは愚図つき始めた。
「オマイさん、お腹へったよ。朝からアタシ何にも食べてないんだからね。」
そういわれれば、たしかにそうだった。
(中略)
「駅までもうちょっとだ。駅着いたらなんか食べよう。たしか、てんやが入ってた。てんやで天麩羅食べよう。」
しかし、これ以上ない名案と思われた俺のその提案も、瞬時にして一蹴された。
「どうして戸田公園くんだりまできて、どこにでもあるてんやの天麩羅食べなきゃいけないんだい!馬鹿か、オマイはっ!」
「じゃあ、なに食べたいんだよ。」
弱弱しく訊ねる俺にマリイは言った。
「なんか、こう、和食。」
誰か教えてくれないか?
天麩羅はおおまかにいうと何食に分類されるのかを・・・
しかし、そのあたりを俺は深く追求せず、ただひとこと「わかったよ。」とだけ告げた。
川沿いの道を歩いている時点で、マリイは愚図つき始めた。
「オマイさん、お腹へったよ。朝からアタシ何にも食べてないんだからね。」
そういわれれば、たしかにそうだった。
(中略)
「駅までもうちょっとだ。駅着いたらなんか食べよう。たしか、てんやが入ってた。てんやで天麩羅食べよう。」
しかし、これ以上ない名案と思われた俺のその提案も、瞬時にして一蹴された。
「どうして戸田公園くんだりまできて、どこにでもあるてんやの天麩羅食べなきゃいけないんだい!馬鹿か、オマイはっ!」
「じゃあ、なに食べたいんだよ。」
弱弱しく訊ねる俺にマリイは言った。
「なんか、こう、和食。」
誰か教えてくれないか?
天麩羅はおおまかにいうと何食に分類されるのかを・・・
しかし、そのあたりを俺は深く追求せず、ただひとこと「わかったよ。」とだけ告げた。
このような文学的、ポエム的な表現が並ぶ。
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