ヤンキーとネトウヨが日本を支配する日 政治の世界で実感した「反知性主義」
※ 前回の記事はこちら:ぶっちゃけ、ネットで政治は変わるのか?
「反知性主義」の萌芽
ここ最近、「ヤンキー」を経済や社会の視点から読み解く本が注目されている。博報堂の原田曜平氏の『ヤンキー経済』(幻冬舎新書)は、マーケティングの参考に購入した読者の方々も多いだろう。ただ、原田氏の言うヤンキーはファッションも精神も「マイルド」で消費文脈での分析にとどまる。一方で精神科医の斎藤環氏、あるいは作家の佐藤優氏はもっと広く、政治的視点からもヤンキーを分析。その精神性、言動を「反知性主義」としている。
とはいっても、普通に働いている善良なビジネスパーソンの皆さんなら、「今の日本は平和。ヤンキーが集団暴動や暴力革命を起こすわけないじゃん」と楽観的だろう。実際、かつての私もそうだったが、昨年4月から政治の世界に携わってみて、「反知性主義」の萌芽を実感した。
今回の記事では、排外的言動を繰り広げる「ネトウヨ」(ネット右翼)、感情的に放射能恐怖をあおり立てる「タロー族」に“挟撃”された経験を基に、「ネットと政治」の課題を考える。前回の記事より難易度はグッと上がるが、企業活動のリスクマネジメントの視点で参考になれば幸いだ。
ネトウヨの怒りが爆発
「日本が朝鮮半島を支配した意義を言ってみなさいよ!」
これは日本史のスパルタ教師からの問いではない。昨年5月、参院議員会館にある鈴木寛・元文科副大臣の事務所で、連日、間をおかずに“抗議”電話が殺到し、私が対応した主婦を名乗る女性の詰問だ。大学受験で世界史選択だった私は適当に答えたら、「勉強しなさい!」と即、ダメ出しされた。
きっかけは、鈴木氏が5月7日の参院予算委で安倍総理に行った質問。東京の新大久保などの韓国人街で排外主義的なデモが繰り広げられ、ヘイトスピーチ(憎悪表現)が問題視されている現状への認識をただした。
東京五輪招致中の当時、韓国でIOCに日本の排外的言動を通知する動きがあり、招致議連事務局長の鈴木氏が招致活動への影響を懸念。私は新宿のネット選挙スタジオで、鈴木氏と徹夜で協議して質問の構成を作るなど、準備を手伝った。総理のFacebook(FB)のコメント欄にも排外的言動の書き込みが目立っていたため、鈴木氏が対処をお願いしたところ、安倍政権を熱狂的に支持するネトウヨの怒りが爆発。FBページやブログが炎上しただけでなく、リアルにも波及し、1日数十件の電話攻撃にさらされた。
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