ヤンキーとネトウヨが日本を支配する日

政治の世界で実感した「反知性主義」

“陰謀論者”が生み出すネガキャン

リアルの電話攻撃は、国会質問から数日で鎮静化したが(ネット上では攻撃を受け続けた)、2カ月後の参院選では、新たな“敵”が伏兵で現れた。原発即時廃止や都内の放射能汚染の恐怖をあおり立てる山本太郎氏とその支持者たち。彼らのようなマインドを持つ人たちを「タロー族」と命名するが、ネトウヨと同様、理性的とはいえない攻撃をネット上で仕掛けてきた。

ネガティブキャンペーンのネタになったのは、原発事故後の文科省の対応だ。当時、副大臣だった鈴木氏が、SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)のデータを「隠蔽」し、さらには、福島の子どもの放射線量の限度を「年20ミリシーベルト」に決めたなどとする情報が拡散。陣営が組織的に仕掛けてきたのかは知らないが、山本氏の熱狂的な支持者たちが連日連夜、ツイッターで鈴木氏のアカウントに執拗に絡んできた。

事実関係については、今回のテーマではないので深くは触れないが、まったくの「誤認」だ。第三者の立場からジャーナリストの石井孝明氏が、政府事故調の報告を引用しながら『アゴラ』で風説の間違いを指摘し、同じく客観的に東京大学の伊東乾・准教授がツイッター上で解説したが、実らなかった。

振り返れば、「タロー族」は事実関係を努めて冷静に確認したうえで発言をしているというよりは、国家権力やマスメディアへの不信感を一方的に募らせ、独特の価値観に基づいて情報を解釈している。それは、ちょうど独特な歴史解釈をした発言をする「ネトウヨ」とも似通っている。昨年12月、早稲田大学で開かれたシンポジウム「新しい民主主義のカタチ」で、鈴木氏と登壇した評論家の宇野常寛氏が、「ネットで最強なのは炎上マーケティングと陰謀論者」と語ったのには納得がいった。

厄介なヤンキーの行動力

冒頭で触れたヤンキー論の視点から、一連の政治的動きはどうみるべきか。現実的でない韓国との国交断絶まで持ち出す「ネトウヨ」、都内のあちこちが放射能に汚染しているなどと感情的に振る舞う「タロー族」――彼らの情報との接し方は、インテリジェンスという言葉とは程遠い。

彼らなりに「勉強」はしているのだが、陰謀史観にまみれてしまって、まさに「反知性主義」、俗っぽく言えば「ヤンキー化」だ。政治学者・與那覇潤氏の言葉を借りれば、「手前勝手な解釈を、一度も吟味せずに、おのずと内外に通用するものだと信じてる」わけだ(斎藤氏の近著『ヤンキー化する日本』〈角川書店〉での対談より)。

それでいて、厄介なことに「ヤンキー有権者」には行動力がある。国会前で反原発のデモを起こし、参院選の東京選挙区では、山本氏を押し上げ、共産党候補が今世紀初めて70万票も獲得。都知事選の田母神陣営は選挙前の1週間だけで数千万円のカンパを集めたそうだ。組織がないとされながらも、結局は61万票を集め、新しい保守政党の結成の可能性につなげた。ちなみに、彼らはマスコミ報道を鵜呑みにせず、ネットを運動のツールに巧みに使う点で共通している。

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