「夢」「勇気」「仲間」「絆」「寄り添う」「イノベーション」──。
何かを語っているようで何も語っていない抽象的な言葉が、政治やビジネス、ネット、J-POP界隈に蔓延している。
世の中はいつからポエム化し、人々はポエムに何を求めているのか?
ポエム化現象のナゾを5日連続で解明していく。
4日目は、ミュージシャンのマキタスポーツさんに、J-POPのポエム化を伺う。
※1日目 小田嶋隆さんはこちら
※2日目 常見陽平さんはこちら
※3日目 中川淳一郎さんはこちら
「翼」「扉」「桜」「奇跡」が定型句
J-POPにありがちな歌詞を揶揄した2ちゃんねるのスレッド「J-POPの歌詞における『何か』の探され方は異常」が以前、話題になった(以下に引用)。
これはまさにJ-POPのポエム化を物語っているだろう。
「J-POPの歌詞が同じような言葉を使わざるをえない事情もある」と話すのは、ミュージシャンのマキタスポーツさんだ。
マキタスポーツさんは、1985年以降に発売されたJ-POPのヒット曲を1000曲以上分析し、ヒットの法則を著書『すべてのJ-POPはパクリである』に公開した。約30年分の歌詞を調べて、実際に多用されていた言葉は次のとおりだった。
「翼」「扉」「桜」「奇跡」「夢」「季節」「永遠」「言葉」「宝物」「エール」「強がり」「弱虫」「大丈夫」「受け止める」「ありがとう」「歩き出そう」「大切な日々」……。
この中でも特に、「翼」「扉」「桜」「奇跡」の4つが定型句。これにまたありがちな動詞を組み合わせると、「翼を広げて」「扉を開いて」「桜、舞い散る」「君と出会えた奇跡」というように、何となくそれらしい歌詞になるという。
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