ポエムなJ-POPが押す「日本人の心のツボ」 マキタスポーツ、ヒットの4法則を語る

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歌詞は民意の合わせ鏡

マキタスポーツさんは、消費者を「受動層」「浮動層」「求道層」の3つに分類する。

「受動層」は情報を真に受けやすく、感動しやすい。メディアの情報をそのまま受け入れる傾向がある。 

「浮動層」は、情報を積極的に取り入れるが、突き詰めては考えない。

「求道層」は、情報を咀嚼して分析する力がある。批評するだけでなく、情報を発信し、作り手に回る人もいる。

J-POPに感動しているのは主に「受動層」。J-POPをネットで揶揄しているのは主に「浮動層」だという。「この『浮動層』の人たちは、実は音楽にさほど興味がない。世の中でウケているものにツッコミを入れて優位に立とうとしながらも、感動したいという心理がある」と分析する。

そして「浮動層」の数が最も多い。その状況は、「浮動票」が多い政治の世界と似ている。

「政治にさほど関心がないのに、文句だけ言う人が大勢いますが、政治は結局、民意の反映でしょう。それとまったく同じで、J-POPも大多数の民意の反映であり、合わせ鏡なのです」

音だけでも感動、歌詞の優先順位が下がる

人の心は昔から変わらない。歌詞は民意を反映したもの。それなのに、「最近の歌詞は、昔の歌謡曲に比べて薄っぺらくなった」と感じるとすれば、もうひとつ、音響技術の発達が影響しているとマキタスポーツさんは指摘する。

「1960年代、70年代のレコードの音と、90年代以降の音を比較すると、音圧がどんどん強くなってきている。特に低音が強い。今の人たちは、低音を一発、聞いたたけで、『うわっ、カッコいい』『ヤバい』とツボを刺激される。

音響が今ほど発達していなかった昔は、作り手はほとんど歌詞でしか感動を伝えられなかったし、聞き手も歌詞から受け取るしかなかったが、今は音響だけでも十分に感動が得られ、音楽を複合的に楽しめるようになった。その分、双方にとって、歌詞の優先順位が相対的に下がったのでしょう」

いい音が前面に出て、歌詞のほうが後退した。薄っぺらくなるのは、必然の結果か。

(撮影:今井康一、スタイリスト:白山美由紀)

 

【お知らせ】
全国7都市で「マキタスポーツのショービジネスツアー」開催中
・6月14日(土)渋谷duo MUSIC EXCHANGE(ゲスト:石崎ひゅーい)
・6月28日(土)山梨・桜座にて「マキタスポーツのショービジネス」追加公演決定

 

上田 真緒 ライター、編集者

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うえだ まお / Mao Ueda

ビジネス誌、ビジネス書の編集者・ライター

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