J-POP=「工業製品」
法則どおりに作れば、聞き手の反応がよく、そこそこ売れる歌ができる。つまり、失敗が少なく、手堅い。それを実証したマキタスポーツさんは、J-POPを「工業製品」に例える。
「作り手はプロとして、『工業製品』を納期までに作らなくてはならない。商用の音楽は当てないとほぼ意味がないので、ある程度、最大公約数の人を狙わざるをえない。だから春に発売するなら、とりあえず『桜』でいっときましょうか、となる。ただ、それだけではありがちな歌になって売れないので、そこにどれだけオリジナリティを込められるかがプロとしての勝負になってくる」
音楽を「作品」と考えた場合、このJ-POP=「工業製品」の例えは違和感があるだろう。だが、「作品」と「商品」は違うとマキタスポーツさんは説明する。
「『作品』は自分や特定の人が満足すればいい。マニア向けの音楽もそう。ある程度、文化的な教養や知識を積んでいる人でないと味わえないような、小さな差異や変化を愛でて楽しむもの。商業的な成功とは別次元の満足を志向している。
『商品』は大勢の人が感動できるものを目指さなければいけない。作り手は売れるものを要求されるので、より大勢いるマーケットに向けて作る。今の時代は人々が多様化して、マーケットが分断かつ小分けにされているので、大きなマーケットを狙って当てるのは、実は『作品』を作るよりもある意味、ずっと難しい」
そこで、消費者の最大公約数の人が感動する普遍的なツボを押す。その結果、同じような歌詞になってしまうのだ。
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