「開拓性」遺伝子型の人とそうでない人がいる訳 ゲノム解析から見た人類の多様性とその未来
人生100年時代とも言われるように、人類はかつてないほど長生きするようになった。しかし、私たちはよりよく生きるようになったと言えるだろうか? もしいくつになっても若い体や心のままで生きることが可能となったら、社会、ビジネス、あなたの人生はどう変わるのだろうか?
ハーバード大学医学大学院の教授で、老化研究の第一人者であるデビッド・A・シンクレア氏が、人類が「老いない身体」を手に入れる未来がすぐそこに迫っていることを示した、全米ベストセラー『LIFESPAN(ライフスパン):老いなき世界』。
2020年10月7日、本書の刊行を記念して、SPBS TORANOMON主催のオンライントーク「バイオサイエンスが拓く、ビジネスと社会の未来」が開催された。ゲストは、ゲノム解析ベンチャーを手がける株式会社ジーンクエスト代表取締役で生命科学者の高橋祥子氏。バイオサイエンスの現状、そして私たち人間社会の課題について語られた。
何のためにサイエンスをやるのか
『ライフスパン』の著者デビッド・A・シンクレアさんは、生命科学の世界では非常に著名な研究者で、この1冊で、世界の老化研究がどこまで進んでいるのかということがよくわかります。
なかでも、未来について書かれた第3部「私たちはどこへ行くのか」は、興味深く読みました。寿命が延びれば地球上の人口が増えることになりますが、それがいいことなのかどうか、また、二酸化炭素の排出量や格差の問題など、老いなき世界にはどんな懸念があるのかということがとても丁寧に論じられています。
私自身、サイエンスというものは、人を幸せにするため、地球を守るためなど、よいことのために行われるべきだと考えていますし、単純に寿命が長くなる、老化しなくなるという技術的なことだけではなく、それによってどうなるのかということも議論するべきだと再認識しました。
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