韓国「不買運動」でも生き残った日本企業の勝因 「日本の会社」という知名度が影響した

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ABCマートコリアは、日本のABCマートが株式の99.96%を持つ企業だ。国内でスニーカーや運動靴などを販売しており、靴の流通業界ではシェアトップ。売り場数も2019年に253カ所、今年は276カ所に増やした。ソウルでは売り場を4カ所減らしたが、首都圏の京畿道で14カ所増。また済州島で4カ所、釜山と江原道でそれぞれ3カ所出店し、結果として売り場は増えている。

ABCマートは日本本社のABCマートの商標権などに対するロイヤルティーを支払っている。2010年に25億ウォン(約2億3000万円)ほどだった支払金額は毎年増額し、2018年には82億ウォン(約7億6000万円)となった。2019年も81億ウォン(約7億5000万円)を支払っている。

激しい不買運動にもかかわらずABCマートの業績が堅調だったのは、「日本の会社」だとはそれほど知られていなかったためだ。靴の流通業界関係者は、「不買運動が激しかった2019年夏にも、ABCマートの売り場は来客が絶えなかった。ユニクロとは違い、ABCマートが日本企業という事実を知らない消費者は少なくない」と指摘する。ABCマートがナイキやアディダス、ニューバランスといった多くの世界的ブランドを販売していることも、日本企業というイメージを薄めているかもしれない。

無印良品は2020年6月、ソウル市江南地区にある店舗を移転し、売り場面積を広げた。844平方メートルだったそれまでの売り場を2.5倍の2003平方メートルとしている。無印良品は2019年の売上高が前年比9.8%減収となる1243億ウォン(約115億円)、営業利益は同193.4%の減益となった。赤字転落から正面突破を図る起爆剤として、移転・拡大させたと業界関係者は見ている。

売り場統合、ソウル以外の商圏を狙う

無印良品側はオープン当時、「売り場にはソウル市内の有名ベーカリーをテナントとしていれ、他にもローカルフードを販売するなど食料品に特化したことで、江南地区の象徴的な売り場になる」と意欲的だった。それから4カ月、江南店は多くの客で賑わっている。

無印良品の全体の売り場数は前年比2カ所増の40カ所。同社側は、「200カ所を超える売り場を持つ他社と比べ、売り場数が少なかったことが不買運動による被害を相対的に抑える結果になった。不買運動による悪影響はあったが、進出当時から事前調査に時間をかけて慎重に売り場を増やすやり方を取ってきた」という。この関係者は「日本の会社ではあるが、韓国内の他の売り場と連携して多様な飲食を展開する戦略で、消費者側のニーズをつかんでいく」と述べた。

不買運動の最大の被害者であるユニクロは、今後、大規模売り場を展開していく戦略のようだ。すでに今年、4カ所をオープン。うち3カ所が大型店となっている。

新規大型店の売り場規模は1320平方メートル以上で、2007年から運営している旗艦店・ソウル江南店の約990平方メートルを超える。ほかの店舗も2090平方メートル、1478平方メートル、1624平方メートルと大規模だ。すべてが大型ショッピングモールにテナントとして入っている。ソウル市内の小規模店を整理し、地方に大型店舗を開く戦略だ。競争が激しいソウルを離れ、新たな商圏への進出に力を入れていく。

ユニクロ関係者は「消費者のニーズと商圏の消費トレンドを反映させながら売り場の統廃合や新規出店を図り、効率的な運営に努める。家族単位での訪問客が多いショッピングモールに進出したことを考え、成人用はもちろん子ども、ベビー向けのラインナップも整理・拡充して顧客ニーズをつかむ」と述べた。

(2020年11月2日号)

韓国「中央日報エコノミスト」
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