「構造」という日本語の解釈、「秩序」という意味の理解、「飢餓感」「渇望」「妥協」という語彙、「義務」という概念の解釈、「譲歩」「折衷案」「妥協」という類推……。これらはすべて、「英語」ではなく「日本語」の力です。
「秩序って何?」「渇望って何?」「義務、わからなくはないけど……」という状態で英語の勉強をするのは、穴の空いたバケツに水を注ぎ込むようなものなのです。
受験において覚えるべき英単語は、だいたい2000〜3000語と言われています。そのうち、先ほどの「order」や「hungry」や「promise」のように、普段日本語をきちんと意識して使っている人間であれば知っている/聞いたことのある単語は、大体500単語くらいはあります。
僕らは日常会話レベルで、たくさんの英語を使っているのです。エントランスでチェックインしてサインしてモーニングコールをお願いし、レストランでオーダーしてティータイムして、カンパニーではワークしてマネジメントしています。
みなさんはこれらの単語全部、日本語としてはどういう意味なのかわかりますか? もはや日本語になっている言葉ですが、これらを全部しっかり理解していれば500単語くらいになります。
さらにさきほどの「conは一緒という意味だな」や、「disってマイナスな意味になるんだろうな」というような類推を加えれば、1000単語くらいはすぐに覚えることができます。
東大生が英語ができるのは、そもそもスタートの時点から1000個もの英単語の差ができているからだと言えます。
東大生おすすめ!「難しい熟語を英語に訳す」勉強法
僕が東大に合格した友達から教えてもらって、浪人中ずっとやっていたのは、漢字の参考書を買って、難しい熟語を英語に訳すという勉強法でした。「秩序→order」「譲歩→compromise」というふうに、自分があまり意味を理解していない日本語を、あえて英語に訳す訓練をしたのです。
その中には、日本語だととても難しいのに英語だと簡単なものもありましたし、逆に日本語だと当たり前の言葉なのに英語だと一言では言えないものもありました。いろんな言葉があって、非常に勉強になった記憶があります。
例えば、「養殖」という日本語を英語にしようとしたら「culture」と出てきて、「え!? カルチャーって文化じゃないの!?」と思ったのはいい思い出です。
また、「習慣」を訳そうとしたときに「habit」「custom」「manner」といろんな英語が出てきて、「habitが癖とか習慣」「customは慣例とか恒例とか、そういう意味か」「mannerは方法とかそういう訳になるのか」と、普段意識していなかった使い分けや、その言葉の根本的な意味に触れられたのもいい勉強になりました。
この勉強の過程で「自分は日本語の語彙力が本当にないんだな」と愕然とし、1から語彙力の勉強をやり直すようになりました。自分がいかに言葉を適当に使っているか、いかに日本語がなっていない状態で英語の勉強をしていたのかを思い知らされたのです。
でも東大に合格してから東大生に話を聞くと、「語彙力の勉強は最初にやった」と語る学生が案外多くて、自分のやっていたことは間違いではなかったんだろうなと感じました。
というわけで、英語の勉強にお困りの方は、そもそも日本語の力が足りていない可能性があります。かつての僕がそうだったように、もしかしたらみなさんも、それが原因で英語が伸び悩んでしまっているかもしれません。よろしければ参考にしていただければと思います。
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