「社会人の卵」を今の局面で育てる理想的な作戦 「対面かオンラインか」の方法論に終始するな

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陸上競技のメタファーで語るのであれば、100m走のような短距離型の、その場限りのグループワークや課題に取り組む力も大事だが、実社会ではその関係が継続し長期にわたって続くため、マラソンのような長距離型の力も必要である。もっと社会の現実に即していえば、価値観の合わないような他者とも関係を構築し、課題に対して長期的に協働して、成果を出していく力が求められている。なぜなら、社会は「点」の活動ではなく、「線」の活動が中心にあるからだ。

あえて一言でいうならば、「リーダーシップを育む」機会が大幅に減少しているといえる。社会の問題はより複雑化しており、さまざまな人との連携や共創が不可欠であり、そのためにはその促す機能としての「リーダーシップ」が必要である。ただ、「リーダーシップ」は講義形式で教えることには限界があり、長期での「実践」を通じて、他者との「葛藤」や「衝突」を乗り越えながら、身につけていく能力・スキルである。

1人では解決できない課題を、チームで解決する

では、「リーダーシップ」に代表される、多くの人と関わり、1人では解決できない難度の高い課題をチームの力で解決するような「機会」「経験」を、ポストコロナにおいて、産官学が連携して、どのようにして提供していくのか。

形式を「対面」にするか、「オンライン」にするかという方法論の議論に終始してはならない。前段でも述べたように、「テクニカルスキル」や「知識習得」を目的にするのであれば、むしろ「オンライン」のほうが手法として効果が大きい場合もある。

大事なポイントは、何を対面で教える、育むのか、その「目的」である。社会で人間関係を構築し、1人ではできないことを、組織やチームを構築して成すという人類にとって不可欠な能力を、どう育み、どう磨いていくのか、ここをおろそかにした際の、未来へのしっぺ返しを考えると戦慄すら覚える。だからこそ、産官学が知恵を結集して向き合わなければならない、大きな社会課題といえる。次回からは、人づくりの最先端事例編に入っていきたい。

樫原 洋平 リンクアンドモチベーション 組織開発デザイン室 エグゼクティブディレクター

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かしはら ようへい / Yohei Kashihara

1980年香川県生まれ。一橋大学経済学部卒。2003年に新卒でリンクアンドモチベーション入社。入社以来、メガバンク、総合商社、グローバルメーカ ー、インフラ、ITなど多様な業界の「リーディングカンパニー」の採用コンサルティングに、10年で100社以上従事。また、大学教育事業の立ち上げにも従事し、産学連携での教育プログラムを開発・実行。現在は早稲田大学・同志社大学で非常勤講師を務める。2014年から2017年末まで執行役員兼西日本の組織人事コンサルティング事業の責任者を務め、採用だけでなく若手の育成・活用を含めてトータルでソリューションを提供。2018年から現職。専門は若手の採用・活用・育成。

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