2人目を産んだら、キャリアは終わりですか 1人目は見逃されても、2人目は許されない?

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周囲には、頑張って不妊治療を続ける友人もいたし、欲しくても授からなかった人も、子どもを持たない人生を最初から選んだ人もいました。デリケートな問題なので、人それぞれの考え方ですが、私はせっかく産める可能性に恵まれているのに、「ああ、あの時、産んでおけば……」なんて考えたくないと思ったんですよね。

私の場合、現在はそのリミットは完全に目の前にありますけれど、「あと10歳若かったら、もっといっぱい家族がいても楽しかったかも」なんてよぎることもありますし、「最後に今からでも?」と考えちゃうことだって、ないわけじゃない。婦人科検診で、「まだいけますね」なんて言われてウキウキして帰宅したことだってあるくらいですから(笑)。どんなことだって「可能性」を失うのは怖い気持ちになるものです。

2人目を後悔した人を、見たことがない

さらに言えば、子どもを2人育てればそれだけ負担が増えることは事実だけれど、私自身は、倍の苦労だと感じたことは一度もありませんし、ひとりのほうが面白い仕事ができたかも、とか、2人目の妊娠でキャリアロスが生じた、とか思ったことも一度もないですね。

2人目を妊娠したとき、私は全国に多くのメンバーを持ち、事業責任を担っていました。リーマンショック後の不況と重なったこともあって、業績計画は下方修正を繰り返し、人員の見直しを行っている頃でもありました。「こんな時期に妊娠なんて」と思う気持ちもあったけれど、最後までやれることを全うするしかない、と腹をくくって仕事をしていました。

そして、妊娠しているから業績が下がっているわけでもなく、また不況のせいだけでもなく、完全に自分自身の力不足のせいなのだ、ということを痛いほど感じていました。今の自分には、ポジションに見合った実力がない。がむしゃらに、上に上にと目指してきた私が、育休を仕事人としての充電期間だと思えたことも、戻るポジションに固執しなかったことも、そこに由来していると思います。

2度目の復職は、4人のワーキングマザーで構成された営業組織のマネジャー。売り上げ規模も100分の1くらいでしたし、上司は同期の女性でした。でも、内示されたとき、すごくうれしかったのです。ポジションではなくて、ミッションにワクワクできた自分。「上にのぼる」以外の目標をちゃんと持てそうな自分。なにもかも、妊娠・出産や育児や、そういう事情とはまったく関係のない、私自身の実力に帰着させることができた。「ああ、私も人として少し成長したかも」と思えました。そして、より充実した仕事生活が送れたと実感しています。

2人目の妊娠・出産、復帰を、「キャリアロス」ととらえるか「成長の機会」ととらえるか。とらえ方とスタンス次第で、得るものは大きく変わってくるように思えてなりません。どんな機会だって「活かす」ことはできる。仕事人生はこれからもまだまだ続くし、万が一、うまくいかなくてもやり直しはきく。先のことで不安があってもまぁそのときになったら考えよう。子どもを持ってもキャリアロスにはならないということを確信していればこそ、こんなに愛おしい子どもがもうひとり増える人生が、楽しみに思えたのかもしれません。

私の知人には、子どもがひとりの人も5人のワーキングマザーもいますが、「もっと産んでおけばよかったわ」と言う人はいても、「産まなければよかった」と言う人と会ったことがありません。ご夫婦で話し合うべき、デリケートな問題ですけれども、あなたも30代後半です。2人のほうが楽とか、専業主婦の奥様が育てているとか、のんきなことを言ってる間に、刻々とリミットは近づいているのですよ。

まずは、今の両立生活の基盤をしっかり固め、面白い仕事もちゃんと手に入れること。そして、そんな自分に自信を持って、素直な気持ちで決めればいい。1度しかない人生の選択です。周囲や情報に振り回されずに、しっかりと自分で決めてくださいね。

※読者の皆様からのお悩み、ご相談を募集します。こちらのアドレス(onna-sodan@toyokeizai.co.jp)まで、年齢、ご職業等を記載のうえお寄せください。掲載は匿名といたします。

堂薗 稚子 ACT3代表取締役

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どうぞの わかこ / Wakako Dozono

1969年生まれ。1992年上智大学文学部卒業後、リクルート入社。営業として多くの企業を担当し、数々の営業表彰を受ける。管理職として、多様な雇用形態の組織の立ち上げやマネジメント、『リクルートブック』『就職ジャーナル』副編集長などを経験。2004年第1子出産。2007年当時組織で最年少、女性唯一のカンパニーオフィサーに任用され、事業責任者、「リクナビ派遣」編集長を務める。2010年に第2子出産後はダイバーシティ推進マネジャーとして、社内外女性のメンターを務めつつ、ワーキングマザーで構成された営業組織の立ち上げ、マネジメントを担当し、彼女たちの活躍を現場で強く推進した。経営とともに真の女性活躍を推進したいという思いを強くし、2013年退職。株式会社ACT3設立、代表取締役。女性活躍をテーマに、講演や執筆、企業向けにコンサルティングなどを行っている。2013年2月、リクルート在籍時に東洋経済オンライン「ワーキングマザーサバイバル」連載に登場。FBのいいね!数が6000を超えるなど、話題となった。

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