「2人目を考える」ということと、「2人目を今すぐ妊娠する」ということは別問題だし、妊娠したって体調次第だけれども、数カ月はしっかり働けるのだから、会社に迷惑をかけないように責任を持って後の見通しをつけることだって、十分にできるはずです。
会社に迷惑をかけたくない、仕事に穴をあけたくない、という気持ちはよくわかります。でも、たとえば、「この仕事をしたいので、1年間は決して病気になりません」なんて確約できる人は誰もいないのだから、「妊娠は考えないで働きます」なんて約束も、する必要はまったくないと思います。
悪意のない「戦力外通告」、これが厄介
でも一方で、「2人目を考える」ことと「面白い仕事」ということが両立できない、と考えてしまうのは、職場や上司がワーキングマザーの受け入れやマネジメントに不慣れで、どうしたらいいのかよくわからないだけ、という単純な理由のこともよくあります。職場や上司は、サンプルが少ないものだから、悪意なく、間違った気遣いをしてしまうのです。
よかれと思って、「大変だろうから……」と大事なプロジェクトからあなたを外したり、「時間の制約があって無理だろう」と、重要な会議の時間を共有してくれなかったり。「わかってくれない」「どうせ、言ったところで」と会社や上司のせいにすることもできるけれど、ワーキングマザーである私たち自身が、変な遠慮をせずに、自分の気持ちや状況をきちんと上司に伝えるようにすべきだと私は思います。
上司はワーキングマザーの活躍において、重要な役割を果たします。その人のあなたへの仕事の任せ方次第では、あなたは仕事での成長と育児の楽しさとの両方を味わうこともできるし、手加減された仕事によって、言外の「戦力外扱い」をされたまま、なんとなく両立生活を過ごしてしまうことにもなるのです。「無言の、でも明らかな……」コミュニケーションの溝ができていくのがいちばん怖いこと。
まずは「面白い仕事をあきらめたくない」「仕事で成長したい」という気持ちをしっかり伝えることです。面白い仕事をしているからといって、育児や家庭を大切にできないなんてことはないのです。むしろ、そこをあきらめないからこそ、仕事でも育児でも工夫がうまれるし、濃密にもなって、両方を楽しむことができるようになる、と私は信じています。
第1子と第2子、私の場合
私自身は、34歳で第1子、40歳で第2子を出産しています。最初のワーキングマザー生活では、「子どもがいるせいにしたくない」という思いがすごく強くて、ダンナと家事も育児も半分ずつ分担し合い、家にもたっぷり仕事を持ち帰って、それまで以上に懸命に働いていました。
責任あるポジションを任せてもらって、とても充実した毎日でしたが、30代後半に差しかかり、「やっぱり、2人目が欲しい!」と思うようになりました。それから3年近く、不妊治療もしましたし、流産も経験しました。そうまでして第2子が欲しかった理由はいろいろありますが、いちばんの理由は「子どもを授かるにはリミットがある」ということに、ようやく真剣に向き合ったからだと思います。
「いずれ考えよう」「この仕事が一段落したら考えよう」と忙しさにかまけている間に、ふと考えてみると、あと数年しか産むことのできる時間が残っていない、というすごく当たり前のことに、あらためて気づいたわけです。「あと数年しかできない第2子出産」について、「しない」とははっきり決めていなかったなと。そう思い直して考えたとき、「授かれるのであれば授かりたい」とすとんと素直に思ったのです。
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