トランプ「経済政策」がこんなにも人気の理由

どちらが大統領でも「米国第一主義」は続く

アメリカ大統領選終盤、精力的に激戦州を回っているトランプ大統領(写真:EUTERS/Jonathan Ernst)

トランプ大統領が経済に関する論調をどれほど変えたか。それを知るにはブルース・ヘインズさんの言葉に耳を傾ければよい。ヘインズさんはペンシルベニア州ベスレヘムにある高級ホテル「ヒストリック・ホテル・ベスレヘム」の経営パートナーとなる前、鉄鋼大手USスチールで長年、幹部を務めていた。

新型コロナウイルスに対するトランプ氏の対応のまずさを、民主党候補のバイデン前副大統領を支持する一番の理由に挙げる有権者は多い。しかし激戦州の激戦郡に住むヘインズさんは、トランプ氏の別の政策に大きな感銘を受けている。

「トランプはアメリカ産業の救世主だ」

ヘインズさんが言う。「鉄鋼業界に35年間携わった経験から言えるのは、不公平な貿易協定は共和党と民主党の両方によってつくられてきたということだ」。安定した中産階級層の源だった製造業は共和党と民主党の双方から見放された、というわけである。だが「トランプはアメリカの産業の救世主になった。彼はわかっている。(アメリカを救えるのは)彼しかいない」。

トランプ政権の命運を最も激しく暗転させたのは、おそらくコロナ禍だろう。トランプ氏が再選に向けて積み上げていた経済における巨大な政治的遺産は、顕微鏡でしか見えない微細なウイルスによって覆された。

コロナ禍となる前、失業率は歴史的な低水準を記録し、経済への信頼感もターボがかかったように上昇、個人所得も幅広い層で増加していた。ところが、トランプ氏は大統領就任時よりも貧困が悪化し、経済成長率が劇的に低下し、失業が高まった中で1期目の任期を終えようとしている。

経済は今年、現代アメリカ史の中でも最悪の落ち込みを記録した。だが、それでもトランプ氏が最も高い支持率を集めているテーマは、相変わらず経済だ。これは「辣腕ビジネスマン」「タフな交渉者」といったイメージがどれほど強固であるかを物語る。つまり、トランプ氏が経済に残した永続的な遺産は、統計年鑑に記録されるようなものではない。経済に関する論調をいかに変えたか。この点こそが、トランプ氏の最大の遺産だ。

トランプ氏が政界進出する前から、アメリカ経済は強力な力によって構造変化させられ、安定した中間層の雇用と、世界におけるアメリカの圧倒的な経済力に対する不安が根強く広がっていた。これに目をつけ、不安をあおり立てたのがトランプ氏だ。同氏が誘導したこのトレンドは、トランプ氏が大統領選挙で再選を果たそうが果たすまいが、これからも延々と続いていく可能性が高い。

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