公務員「大量クビ切り」の恐怖、社会保険庁の廃止で表面化
「最も安定した職業」と見なされてきた公務員が、次々と失業に追い込まれている。
2008年9月末、千葉県銚子市は、市立病院の休止に伴い、看護師など185人を分限免職(事実上の整理解雇)とした。そして昨年12月末には、社会保険庁の廃止に際して、525人の職員が分限免職処分を受けた。このうち12月末時点で再就職先が決まっていなかった112人は、失業を余儀なくされた。
国家公務員の分限免職は、事業が終了した姫路城保存修理工事および憲法調査会事務局のそれぞれ3人が対象となった1964年以来だ。終戦直後の混乱期を除き、数百人もの国家公務員が職を失う例はない。
スト権などの労働基本権が制限されている代わりに国家公務員には手厚い身分保障がなされてきたが、今回、その慣行が音を立てて崩れた。
国家公務員法第75条が述べる。
「職員は、法律または人事院規則に定める事由による場合でなければ、その意に反して降任され、休職され、または免職されることはない」
分限免職の事由の一つに、組織の廃止がある。同法第78条4号では、「官制もしくは定員の改廃または予算の減少により廃職または過員を生じた場合」とある。だが、これまでは、省庁を超えた配置転換などで雇用は守られてきた。
行革でクビ切り続出も
日本労働組合総連合会(連合)の幹部は、「社保庁は特殊な事例。今後、分限免職が次々と起こるとは思わない」と語る。年金記録のずさんな管理など、社保庁固有の問題に帰着するとの見方だ。
それとは異なり、「公務員大量解雇の端緒となりうる」と見るのが、元自治労東京都本部副委員長の石田誠氏だ。