「社会貢献する人」と「しない人」の決定的な差 「自分起点の社会善」積むトレイルブレイザー達

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林さんや岡さんと、女子大学生への就活支援の非営利の団体を運営していてつくづく「社会への思いは個人からしか出てこない」ものだと思います。学生たちからよく「社会貢献がしたい、はず、と自分でも思っているけれど、どうしたら良いかわからない」との相談を受けます。そのときには自分の欲望を満たす方法を探すことが大事ではないか、と声をかけています。個人の欲望をたどることで社会貢献につながる、私たちは、そのような仮説の下に、チャレンジを続けています。

社会貢献は「自分の好きなこと」をやれ

:本書にも、セールスフォースのジェンダー平等問題が書かれていますが、この部分は日本への示唆が多かったですね。ノルマを満たすために女性だからと特別扱いすることは必ずしも望まれていない。一方で、既存の評価方法が特定の層に有利になっている可能性はあるので、物事の本質を見つめ、無意識の偏見をなくす努力が必要です。

この本を読んでよくわかったのは、理想主義を掲げるのは簡単だけど、一方で、ベニオフさんにはプラグマティックな側面もあるということです。

林志洋(はやし・しょう)/大学在学中に起業家教育に取り組むNPO法人Bizjapanを創設。以来、「イノベーションの社会実装」をテーマに活動を続ける。日本と中国にて大学院を修了後、戦略コンサルティング企業、海外ベンチャー企業の日本展開などを経験。2020年6月に長野県小布施町に移住し、総合政策推進専門官として地方を舞台にした持続可能な街づくりや事業創造に取り組む(写真:本人提供)

私も日々町づくりに取り組む中で、理想を語るだけでは結果が出ないことを実感しています。その点ベニオフさんは、徹底的にデータに書き換えていく。カルチャーをつくる過程でも、オンボーディングが重要と考えて、新人研修で入った人の評判が実際にどうなのかをきちんと追跡して改善していきます。

そして、結果につなげていく力がすごい。理想主義は「いいプロジェクトだったよね」と自己満足に終わってしまうものですが、その壁を取っ払うのは、やはりデータで科学することなんだろうと学びました。

自社の事業を回す過程で社会に貢献できるようにする、つまり、社会貢献と事業を分けないことが大事だと思います。

:日本人は、すぐに社会貢献を「する人」と「しない人」に分けたがる傾向がある気がします。でも、そうやって安易に二分するのではなく、もっと多様であってもよいのではないでしょうか。どんなレベルでも社会と関わることは価値があるし、たとえ小さなことであっても、自信を持って社会に貢献していると考えてもよいと思います。

「社会貢献といえば、森林保全」などといった一元的な見方はもう古い。すでに、私たちは社会貢献のテーマややり方が多様化する時代に生きています。仕事でも、プライベートであっても、自分の好きなことを通して社会に貢献することで、自然と個人の成長にもつながります。そうやって、個人がパワーアップすることで、日本の社会がより良くなっていけばよいなと私は思います。

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