イノベーション企業が「ゆでガエル」になる理由 ベニオフCEO「企業は社会に信頼を優先せよ」
真のステークホルダーとは誰なのか
ベニオフは、真剣に「会社のステークホルダーとは誰なのか」を考えている経営者ですね。これは日本企業も考えていかなければならないことです。
グローバリゼーションが叫ばれるようになってから、日本企業は株主に対する責任を果たしていないと非難されてきました。ちゃんと売り上げて、四半期ごとに株を配当せよと。しかし、なぜそれをやってこなかったのかといえば、それまで日本企業は株の持ち合いだったからです。
そもそも「株主に対する責任」という概念はなく、従業員のことだけを考えていればよかった。その結果、売り上げが伸びず、組織も硬直化して、成長曲線に乗れないという問題があり、そこを指摘されるようになったのです。
それは一面としては正論だけれども、やりすぎると、株主のためだけに働く会社になってしまう。実際、最近のスタートアップでも、最初の頃は「社会のために」とか「お客様のため」などと言っていたのに、上場が見えてきたり、売却などのイグジットが見えて、ベンチャーキャピタルが入ってきたりすると、四半期ごとの売り上げを猛烈に求められるようになり、脇目もふらずに金儲けに走るようになってしまいます。
それでは、いったい誰のために働いているのか。ベンチャーキャピタルのために働いているのか、という話にもなる。上場すれば創業メンバーは金持ちになるでしょうが、社員はその人たちのためだけに働かされて、ブラック労働化してしまったりもするわけです。
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