イノベーション企業が「ゆでガエル」になる理由 ベニオフCEO「企業は社会に信頼を優先せよ」
しかし一方で、GAFAぐらいにまで巨大化してしまった企業において、それでも成長しなければならないと思う、その原動力はどこから来るのでしょうか。別に今の状態を定常状態として、会社を維持してもいいんじゃないか、と僕は思うのですが。
プラットフォーム・ビジネスには限界がある
この点については、個人的には、従来の経済学の限界も見えているのではないかと考えています。経済学は近代以降に生まれた学問ですから、「成長すること」が前提になっていて、その先の定常状態で、どういうエコノミクスがありうるのかということは考えられていません。
新自由主義におけるトリクルダウン理論はすでに否定されています。大金持ちが潤えば、貧乏にも自然に富が回ってくるという考え方ですが、今は大金持ちの資産がどんどん増えても、決して貧乏人におカネは回らない。貧乏人におカネを回すには、雇用が十分に維持されていなければなりませんが、そうはなっていないというミスマッチも起きています。
一方で、世界的な人口減も指摘されています。どこの国も都市化が進めば必ず人口が減りますが、一説によれば、2050年には中国で14億人の人口が11億人にまで減るとも言われています。東南アジアやアフリカも、今は増えていますが、2090年頃にはピークアウトするようです。
そして、その先は誰にもよくわからない。その先の経済の世界では、どういう企業体がありうるのか、その企業体は成長するのかしないのか。今は成長し続けているプラットフォーム・ビジネスも、それが全人口に行き渡った後は、いったいどのように儲けるのでしょうか。
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