「社会貢献する人」と「しない人」の決定的な差 「自分起点の社会善」積むトレイルブレイザー達

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樋口さんも、先ほどおっしゃっていましたが、いわば、「自分起点の社会貢献」。社会に貢献したいのに、何をしたらよいかがわからない人に、そう伝えたいです。

「トレイルブレイザー」と企業文化の高まる重要性

樋口:そう、社会貢献ってもっと自分の等身大でいい。それと、ベニオフさんもツイッターで伝えた内容が失敗であった話を掲載していますが、もっとトライ&エラーでいいのかもしれない、と気づきました。企業も個人も新しいことやっているのだから、どんどん実験していい。この本のすばらしいメッセージですね。

そういう、新しいリアルな社会貢献を始める人たちを表す新しい言葉として、この本のタイトルにある「トレイルブレイザー」という言葉があるのではないかと思いました。

そこでは、あくまで個人が主役で、企業はいわば「プラットフォーム」でしかない。企業を使って、個人のクリエイティビティーが社会につながる、そんな世の中を実現したい。ベニオフさんは、そんな意味もタイトルに込めたかったのではないでしょうか。

マネジメントにかかわる人で、企業文化をつくらなきゃと思っている人にもこの本は読んでほしいです。「今、変化の激しい社会で、成長する企業文化とは何か?」そのヒントが詰まっていると感じました。

:ウィズ・コロナ、アフター・コロナの時代、企業と個人が物理的に離されていくなかで重要なのは、精神的なつながり。つまり、企業が行う意味のある社会貢献から生まれる信頼ではないでしょうか。これを企業と個人の間で根づかせていくことで、今の時代に合致した新たな形の「企業文化」が生まれると思います。

今、企業にとって、従業員と社会に響く企業文化をどうやって作っていくかは、至上命題ではないでしょうか。その手段の1つとして、今後、企業と個人の間で、社会貢献を通じた「つながり」を強めていく必要性がますます高まっていくと私は思います。

樋口:男女の賃金平等に取り組むところも、データを使って確実にアクションしていましたね。この本は、具体的な課題の解決方法についても、示唆に富んでいます。多様性、新しい世代の人材の確保、自分の事業を社会とつなげて最大化していく方法、などについて悩んでいる人にはぜひ読んでほしい。

企業にとってのアイディアが詰まっているし、個人のリーダーシップの取り方としても示唆にあふれる一冊です。

泉美 木蘭 作家・ライター

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いずみ もくれん / Mokuren Izumi

1977年三重県生まれ。24歳でイベント企画会社を起業し、即刻倒産。借金返済のために働く日々をつづったWebサイトが話題を呼び、作家デビュー。以降、週刊誌やWeb媒体等で執筆。TOKYO MX「モーニングクロス」「激論!サンデーCROSS」などテレビ番組でレギュラーコメンテーターとして出演。著書に『オンナ部』(バジリコ)、『エム女の手帖』(幻冬舎)、『会社ごっこ』(太田出版)等。趣味は合気道とラテンDJ。

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