「社会貢献する人」と「しない人」の決定的な差 「自分起点の社会善」積むトレイルブレイザー達
この本には、エース級の社員が毎週中学校へ行って、子どもたちにプログラミングやコーディングを教えるという話が出てきます。従業員を信頼して自由に社会貢献活動をやらせてあげることが重要であり、それができる企業はより魅力的なイメージが広まり、最終的には優秀な人材を惹きつける、という効果もあると思います。
セールスフォースは、従業員個人が必要と考える寄付活動に、会社として5000ドルまで上乗せしたり、技術面でも支援をしています。個人が企業の強みを持って社会に貢献していく、それが事業である場合もあれば、そうでない場合もある。
そして、個人が企業の名前を背負って、自由にボランティア活動に行ける、これがセールスフォースが提唱する「トレイルブレイザー」(個人的なキャリアだけでなく、企業やコミュニティを輝かしい将来へ導く先駆者)を増やすための重要なポイントだと思います。また、「社会貢献活動の自由度を高める」ことで、会社に対する従業員の信頼が高まり、最終的には社会からの信頼も高まることにつながります。
樋口:社会貢献と企業と個人の関わりを考えるうえで、「(時間もお金も)個人の自由度を上げる」という一気通貫した考え方が、この本には詰まっています。結果として、セールスフォースの社員の88%が社会貢献をしているようです。
一方で、日本では、社内ボランティア制度は休暇として整っている企業でも、お金や技術の支援などが統合的に結びついていない印象があります。休暇があまり活用されていないのはそのような理由もあるのでは、と考えます。
岡:それに、本書に書かれていることは決して理想ではなく、実行されているんですよ。NPOや政府系の非営利団体に、10口まで無料でサービスを使えるようにしていると書かれていましたが、私がコンサルとして関わったNPO団体が、実際にそれを使って寄付者や提携企業を管理し、本当に効率化しているのです。
システムの導入時には、セールスフォースの方が何回も事務所に通ってサポートし、導入完了後もフォローアップで定期的に来てくれているそうです。また、セールスフォースの方々がボランティアとしてプログラミングやコーディングの講習を行い、若者の就職をサポートしようという話になったり、と持続的な関係性が築かれているそうです。
しかも、彼らは自分たちの時間を社会貢献に使いたいという気持ちを持っていて、形式的でなく、好きで来てくれているのがわかる。だから、NPO側もコラボしていて楽しいと聞きました。ベニオフさんが掲げた理想が、日本の小規模のNPOで、意味のある形で継続的に、しかも草の根で変化を起こしている。これは、すごいことだなと思います。
「箱」依存の社会貢献を脱却せよ
林:私はフリーランスという立場で、複数のスタートアップに携わっていますが、小さい組織でも、個人が意識してアクションを取らなければいけませんね。セールスフォースでは、従業員個人が、企業のビジョンに基づいて、これをやろうというイニシアチブを取り、ボトムアップで進めていることが印象的でした。
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