コロナで留学中止「学生派遣できず」苦しい現実

オンライン授業の「できること」「できないこと」

熊谷副学長は「この状況もいつまでも続くものではない。しかるべきタイミングで1年間のフル留学は必ず再開するし、そのスタンスは今後も変わらない」と語ります。しかし、オンラインでの学習に関しては、意外な返事が返ってきました。学問的なことに関してはオンラインで十分学べる状況にあり、実際に対面の時よりも成績が上がった科目もあるといいます。

一方で、「ただ、本学はリーダーの育成を掲げており、実際に人と会って壁に当たりながら物事を進めていくとか、友情を育むとか、異国の地に降り立ってまったく違う文化・社会規範の中で揉まれる経験は、絶対外せない要素であると再認識したこの半年でもありました」と語ります。

それを踏まえたうえで、さらなる留学の強化をする予定。具体的には、1年間の留学のほかに、通常授業から提携校のオンライン授業を受講できる仕組みを強化し、今回のような不測の事態にも対応できるようにする考えです。

前述の大学と同様に国際教養大学でも、協定校とのオンラインライブ授業を進めるほか、実験的にオンラインで世界の大学の授業を受けることができるMOOCs(ムークス)を導入する予定。

MOOCsとは、大規模公開オンライン講座(MOOCs=Massive Open Online Courses)とも訳される教育プラットフォームで、世界のトップ大学や機関の授業が無料で受講することができる仕組みです。

「今は苦しいだろうけども永遠に続くわけじゃない。人類史的にもまたと遭遇できないような時代にめぐり合っているのだから、何ができるかをお互い考えよう」(熊谷副学長)

留学は今後どう変わっていくのか

今回、留学に積極的な3つの大学にインタビューしてわかったことがあります。

1つ目は、留学に代わる価値の提供に苦しみながらも、オンライン留学やCOILなど新しい可能性を見いだしつつある教育現場の奮闘ぶりです。とくに協定校とのオンラインによる共同学習は、今後はいかに日常的な教員レベルでの交流を拡充できるのかがポイントとなりそうです。

2つ目は、危機管理体制の見直しです。大学は将来想定される事態に関しても危機感を募らせています。

外務省の感染症危険情報によると、現在のところ留学先の多くの国は「レベル3(渡航中止勧告)」。レベルの引き下げが検討されているとの報道もありますが、仮にレベルが下げられたとしても、第2波・第3波を想定した柔軟な危機管理体制がポイントとなりそうです。

3つ目は、留学の価値の再発見です。オンラインでの学習効果は高いと認める一方で、異文化の理解や困難を乗り越えることによる学生の成長、日本のよさの再発見などは、留学でしか経験できないという点は、3大学とも共通していました。

コロナで留学中止という世界的な困難をどう乗り越えるか、大学の挑戦が続いています。

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