コロナで留学中止「学生派遣できず」苦しい現実

オンライン授業の「できること」「できないこと」

ただ、来年2月・3月の春休みのプログラムについては感染状況を見極めながら、キャンセルが可能なリミットである11月まで催行を検討。大学側の早く留学を再開させたいという意向がうかがえます。

コロナ禍での大学としての取り組みとしては、まずは「オンライン留学」です。海外の協定校でのオンライン留学を、2年生以上を対象に9月から試験的に導入し、単位認定についてもその効果を検証しながら今後検討を進めていくということです。

イギリス・ヨーク大学オンラインプログラムの様子(写真:千葉大学提供)

また、留学先からネットを介して千葉大の授業を受けられるシステム「スマート・ラーニング」を2年前から導入していました。コロナ禍の今は、そのICT学習支援環境を最大限活用して乗り切ることができたそうです。当初100科目くらいで準備していたところ、前期は1500科目ほどに拡大して提供。全員留学を進めてきた効果が、意外なところで発揮できた結果となりました。

今後は「ブレンド・オンライン・プログラム」という千葉大学としてのハイブリッド型のオンライン留学を推進。メディアでの事前学習とその後のディスカッション、ZoomやMicrosoft Teamsなどでの講義に加えて、「学生が学生を教える」というTA(ティーチングアシスタント)制度を取り入れたオンライン学習システムを考えている、と渡邉理事は言います。

グローバル教育に力を入れる「国際教養大学」

秋田県にある国際教養大学は授業がすべて英語で、1年間の交換留学が卒業に必須なことで知られています。イギリスの教育専門誌とベネッセグループによる「Times Higher Education 世界大学ランキング日本版2020」の教育充実度で1位(総合では国内10位)です。

「世界標準」の国際教養教育を実践する大学として、どう対応しているのでしょうか。熊谷嘉隆副学長によると、同大も今年の1~2月に提携校に出発した100名以上の学生は、現地大学でクラスター感染のリスクがあることから緊急帰国。

ただし、そのまま協定校が提供するオンライン科目を、海外の春学期(1〜5月)を通して履修可能に。そして同校に関しても、秋学期は派遣も受け入れもどちらも中止という状況です。

そのため、秋学期に関しては提携校のオンライン科目を継続して受けるか、同大のオンライン授業を受けるかの選択制にしています。これは、学生に寄り添った柔軟な大学側の対応と言えるでしょう。

帰国した学生の中には「もう一度チャレンジしたい」という学生の声もあり、そういった学生には大学が再チャレンジのオプションも用意。4年間で卒業しなくてはいけない経済的事情がある学生には、「1学期の留学+帰国後のオンライン授業の履修」で留学として認める特例措置をとることを決定しました。

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