低年齢化と、高年齢化する接客産業
まず、意外とこういう夜の接客業は、人生を通じたキャリアになりうるということである。10代後半から始めて、以前は30代前半でお客さんもつかなくなり引退というイメージだったが、美容医療技術の発達か、今では50歳を超えてもそれなりにきれいでやっていける。意外と加齢に従って違うセグメントにシフトすることで、息の長いサービス業としてやっていけそうだ。
また嗜好の多様化と高齢化社会の到来で、ますます高齢者接待の需要が増していくと考えられるため、けっこう“熟女”の域に差し掛かった、ないし通り越した高齢者にも、接客業で働く道が残されているのは歓迎すべきことだろう。
私は女子高生カフェには前述の理由により反対だが、この高齢者キャバクラに関しては、高齢層の雇用創出および社会に出回らないタンス預金の消費への転換、また高齢者のコミュニティ創出という観点で、シルバー経済対策として個人的に推奨したいと思う――私はもうごめんだけど。
一流の接客業も、客のニーズを敏感につかむところから
さて、本日も一流と二流の違いについて触れて、締めさせていただこう。
たまたま最近、「グローバルエリートの母も見た!」の筆者であり、わが師・グローバルエリートの母君であるミセス・パンプキンに会ったとき、一流の接客と二流の接客について聞いてみた。
そこで“接客業30年のベテランから逸話を聞いた”というミセス・パンプキン氏いわく、「話すネタもなく、会話で楽しませられないのに、カラオケだけ押し付けて安易に稼ごうとする接客業は潰れる。かといって、賢い話をしたらいいわけでもなく、楽しみにきている客相手に賢い話をしても、勉強しに来たわけではない、と怒られる。お客さんが何を求めているか知るのが大切」と語っていた。これは私の実体験にも即していることである。
私がよく行く香港のとあるコリアンクラブのママは、その地で店を構えて20年を超えるベテランであるが、母と話すかのような包み込むような安心感・信頼感がある。店に行けば今日は楽しむために来たのか、それとも接待のためにきたのかを瞬時に把握し、誰を重点的に接待するのかをこちらの望みを踏まえて接客してくれる。自分の誕生日だからとクリュッグをねだることもなければ、客が眠たそうにしていれば自主的にお開きにして、計算してタクシーを呼んでくれる。
このお客に対する誠意と愛情は、相手にカネがあると見るや否や、客が飲みたくもない酒を無理やりどんどん注文し、深夜まで引きとどめ、客の翌日の仕事に支障を及ぼすことで“この店は客を短期的な金づるとしか思っていない”と見切られる、六本木界隈に巣食う二流のクラブと好対照である。
「客のニーズを把握して、つねに客との信頼感を大切にする」というのは、投資の世界でも経営の世界でも夜の接客業の世界でも業界を問わず、一流の仕事に共通する基礎中の基礎であることを再認識した、ヴィクトリア湾のエメラルドグリーンが輝く香港の昼下がりであった。
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