iPhone悲願「PASMO対応」生活はどう進化する アップルはSuicaで大きな成功を収めたが…
2つ目は、海外の人でも簡単に利用することができるようになった点だ。海外の人がiPhone 8以上のデバイスを日本に持ち込み、WalletアプリからPASMOを新規作成する場合、Apple PayにVISA・Master、JCB、アメリカンエキスプレス、もしくは銀聯カードが設定されていれば、残高を追加して発行することができる。iPhoneの使用する国や地域の設定を変更する必要もなくなった。
現在、新型コロナウイルスの影響で観光での訪問が難しい状況になっているが、2021年に東京オリンピックが開催されるのであれば、海外から観戦に来た人は、手元のデバイスだけで、東京の交通機関を乗りこなすことができるようになる。iPhoneは通常、自分の母国語に設定しているため、駅の中や窓口で対応できない言語であっても、PASMOが利用できるようになる点は大きいだろう。
もう1つはオートチャージだ。鉄道事業者が発行するクレジットカードを持っている場合、残高が少なくなった際に自動的に残高を追加するオートチャージも利用できるようになる。Suicaの場合、Viewカードを持っている人にしか対応しなかったが、私鉄沿線に住んでいて、鉄道会社発行のクレジットカードを持っている人にも、オートチャージの便利さが拡大する。すでにPASMOカードへのオートチャージを利用していた場合、PASMOカードをiPhoneに取り込むことで、設定していたオートチャージも引き継がれる仕組みだ。加えて財布の中のカードを1枚減らすことができる。
端末を紛失した場合は?
ベイリー氏は、Apple PayのPASMO対応について、2つの安全性を強調した。
1つはセキュリティとプライバシーだ。Apple Payを設定しても、アップルは利用者がどこで、いくら利用したのかなどのデータを取得しないという。またICカードはiPhoneやApple Watch内のセキュアエレメントに格納され安全性が保たれるほか、端末をなくした場合でも「探す」アプリやウェブサイトからApple Payの機能を停止し、不正に利用されないようにすることができる。
もしデバイスを見つけた場合、カードの再発行は必要なく、ロックを解除すれば元通り使えるし、新たなデバイスに設定する場合でも、Apple IDに紐付けられ、残高をそのまま使い始められる。この点は、Suica同様、PASMOのセキュリティにApple Payの機能が追加される形となる。
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