今年の秋競馬の注目は、史上初の無敗の牝馬3冠がかかるデアリングタクト(牝3、栗東・杉山晴厩舎)のGⅠ秋華賞(10月18日・京都、2000m芝)、史上3頭目の無敗の3冠がかかるコントレイル(牡3、栗東・矢作厩舎)の菊花賞(10月25日・京都、3000m芝)、そしてアーモンドアイ(牝5、美浦・国枝厩舎)が史上初の芝GⅠ通算8勝目と牝馬初の連覇を目指すGⅠ天皇賞・秋(11月1日・東京、2000m芝)だ。
コントレイルの主戦を務める福永祐一騎手は、ファンの入場再開について「何よりです。こうやって少しずつやっていくしかない。コントレイルも見てもらえるし、デアリングタクトも3冠がかかっている。やっぱりお客さんがいないレースはさびしいから達成感が違う」と歓迎する。
歴史的な快挙がかかるGⅠを、ファンが観戦できるようになるのは大きな前進だろう。
秋華賞で史上初の無敗の牝馬3冠を狙うデアリングタクトは、オークス後に一度栗東トレーニングセンターに戻り、京都府の宇治田原優駿ステーブル、福島県のノルマンディーファーム小野町を経由して北海道新ひだか町のノルマンディーファームで春の疲れを癒やした。
その後は7月14日にノルマンディーファーム小野町、8月8日に宇治田原優駿ステーブルに移動して徐々に調整のピッチを上げ、9月2日に栗東トレーニングセンターに戻った。栗東に帰厩する直前に、陣営は秋華賞への直行を表明。夏場の間に馬体が成長し体幹もしっかりしてきた。9月13日に栗東で初時計をマーク。順調にメニューを消化し態勢が整ってきた。
「前哨戦は満点」だったコントレイル
皐月賞、ダービーを無冠で制したコントレイルは、夏場は鳥取県の大山ヒルズでじっくりと疲れを取った後で調整され、9月4日に栗東に戻った。秋初戦となる9月27日の神戸新聞杯へ向けての調整段階で、福永騎手は「トモ(後肢)の入り方が格段に良くなった。何の問題もない」と自信を見せていた。
神戸新聞杯は内枠で馬群の中で包まれる形になったが、直線馬群を割ってノーステッキで楽勝し、無傷の6連勝で菊花賞へ向けて順調に滑り出した。福永騎手は馬群の中でも自信満々に進め、直線スペースが開いたところで一気に突き抜けてきた。
「負けていない馬だけに、休み明けとはいえ落とすわけにはいかないと思っていた。余力を残して勝つことができたのは何よりだった」と福永騎手は話す。
馬体重は460キロとダービー当時とまったく変わらず、矢作芳人調教師も「そこは父と同じなのかも」と、ディープインパクトも馬体が増えなかったことを引き合いに出して笑う。
「折り合い面も問題なかったし前哨戦としては満点。パドックや本馬場入場を見てもさらに落ち着きを増し、精神的にどっしりとしてきた」と春からの進化に手応えを感じていた。
今回は鳥取県の大山ヒルズに戻ることなく、栗東に在厩して調整されるだけに、「スイッチが入りすぎることなく、さじ加減に注意したい」と矢作師。福永騎手は「負けずに来たので、ファンの後押しでぜひ達成できるように頑張りたい」と無敗の3冠へ向けて力強く締めくくった。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら