アリ型よりキリギリス型が成功する時代 アリの「ストック思考」からキリギリスの「フロー思考」へ

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こうした問題発見と問題解決の本質的な構造の違いに加えて、ビジネスにおける知的資産としての知識の位置づけも「ストック重視」から「フロー重視」へと変化している動きがある。

これには環境変化が大きく影響している。まず大きな要因として挙げられるのがICT(情報通信技術)の発展である。インターネットとクラウドによって、知識や情報とはネット上でいつでも検索可能な共有財産という色合いが強くなってきている。つまり、「ストックとしての知識」は個々の企業や個人が持つというよりも、共通のレポジトリーとしてのクラウドやインターネットが担うようになってきたからである。つまり個々の企業や個人にとって知識や情報は「貯める」から「使う」に変わってきているのである。

SNSも情報をストックからフローへと変えている動きのひとつである。「タイムライン」は情報をフローととらえている。「一度聞いた質問への答えは過去のアーカイブから探してくる」というのがストック的な発想だが、「それよりもう一度聞いたほうが早い」というのがフローとしてのタイムラインの発想と言える。

また、現代のビジネス環境の変化が著しく速くなってきているのも「知識のフロー化」に拍車をかける。変化があまりない環境では、「過去の延長線上」で考えることがよい結果を生むことが多いからストック型の発想が有利だが、変化が激しく過去の延長が通用しなくなった世界では、ストックとしての「過去の知識」の価値は相対的に下がってくる。このようにしてさまざまな側面で、知識や情報をフローとして考えることが必要な場面が増えてきている。

「持つ者」と「持たざる者」の発想の違い

それでは「ストック思考」と「フロー思考」とを分けるものは何なのか?

これは生まれつきの資質に加えて環境によるところも大きい。アリ型の思考とは「持てる者の発想」であり、キリギリス型の思考とは「持たざる者の発想」ということができる。何かを持っている組織や人は必ず「今あるもの」から発想する。「今あるもの」を強みとして最大限に活用できる方策を考えるという点で理にかなっている。

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