世界への切符?「国際バカロレア」は有効か 元国連マザーが考える、グローバル教育のツボ

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大崎麻子
米コロンビア大学院国際関係学修士号を取得後、国連開発計画(UNDP)で途上国の女性支援を手がける。帰国後、フリーのジェンダー・国際開発支援の専門家として、国際協力や東日本大震災の復興支援に携わりながら、関西学院大学などでも教鞭をとり、『サンデーモーニング』(TBS系)をはじめとする報道番組のコメンテーターとしても活躍中。近著に『女の子の幸福論』(講談社)。都内のインターナショナルスクールで国際バカロレアのディプロマ(大学入学資 格)を取得して卒業した19歳の長男、都内の公立小学校に通う12歳の長女の母親でもある

国連出身ママ、息子は国際バカロレアを受験

――シェイクスピア作『マクベス』で、作者の意図を伝える上でマクベス夫人はどのような役割を果たしたと思うか述べよ。
――「“Literature is the sole representation of culture.”(文学は文化を代表する唯一のものである)」という引用について、授業で読んだ作品群から引用しながら、自分の考えを書け。

 

これらは、今回ご登場いただく元国連開発計画(UNDP)職員で現在はフリーのジェンダー・国際開発支援の専門家として活躍する大崎麻子さんの長男・Kさん(19)が昨年春に受けた「国際バカロレア」のディプロマ(大学入学資格)試験の一部だ。いずれも正答を問う質問ではないが、自分の考えを根拠づける適切な引用の上に、論理的な展開が求められる。もちろん英語で、だ。

グローバル人材育成の必要性が叫ばれる中、日本でも最近耳にする機会の増えた「国際バカロレア」(以下IB)という教育プログラム。世界で通用する大学入学資格を与えるIBはこれまで、日本ではインターナショナルスクールやバイリンガル教育をしている私立学校を中心に展開されてきた。

しかし、文部科学省がIBの認定校・候補校となる高校を2018年度までに国内で200校にまで増やす目標を打ち出すとともに、15年から日本語での授業によるディプロマも認められることになった。その影響は日本の大学入試にも及び始め、慶応大、筑波大、東京大が相次いで、入試選考にIBの成績を取り入れることを決めた。日本で生まれ育った多くの日本人にとっても、もはやIBは特殊な世界とは言っていられなくなっている。

IBは国連が求める人材像そのもの

大崎さんは、自らも米国の大学院を修了して国連職員として国際開発支援の最前線で経験を積んだ後、親として長男のIB取得をサポートしてきた。そんな背景を持つ大崎さんは、IBには単なる語学力や論理的思考力、プレゼンテーション技能の向上を超えた「ある哲学」にこそ真髄が宿るのだと説く。

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