NTTドコモの電子決済サービス「ドコモ口座」に端を発した不正引き出し被害が拡大している。口座名義人ではない悪意ある第三者が、銀行口座から預金を決済サービスへと移動させ、勝手に使ってしまうという手口だが、とくに件数が突出していたのがゆうちょ銀行だ。
ドコモ口座(d払い)のほか、PayPay、LINE Pay、PayPal、メルペイ、Kyashでも被害を確認。ゆうちょはこれらの決済業者を含めた計10業者への即時振替サービスを停止した。被害は全額補償する方針だが、ぞっとするような事態が起きたことに変わりはない。
今回の犯罪は何らかの方法で入手した口座情報等を基に、預金者の名義で決済業者のアカウントを開設し、そのチャージ元として銀行口座をひもづけたことで不正引き出しが起きたのだが、口座ひもづけの際の本人確認が甘かったせいではと指摘されている。
昨今、国策でキャッシュレス決済が強力に推進されてきた。国の未来投資会議で、決済インフラの見直しおよびキャッシュレスの環境整備は重点項目の1つとされ、さらに銀行は2017年の改正銀行法によって電子決済等代行業者との連携を進めよと求められてきた。
また、銀行免許を持たない事業者でも1件100万円を超える送金ができるようになる改正資金決済法も成立。新型コロナ禍も後押しし、決済のデジタル化をとにかく進めよと国を挙げて前のめりになっていたといえなくもない。残念ながら、その負の面が突かれた事件ともいえる。
われわれがサイバー犯罪を完璧に防ぎきることはできないだろう。しかし、なるべく被害に遭わないに越したことはない。銀行利用者が、自衛策としてできることをいくつか挙げてみたい。
(※以下の取り組みは各銀行のサービスによって異なる)
自衛のためにできること
今やどの銀行でも、インターネットやスマホアプリでのネットバンキングを推奨している。オンライン上で取引確認ができるので、まだネットバンキングの登録をしていない銀行があれば早めにしておきたい。
とくに、通知メールの設定は忘れずに。ログインがあった、パスワードの変更があった、振り込みをしたなどの際にメールで通知が届くからだ。
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