「6分の1公式」が中高生の将来の仕事を奪う悲劇

藤井聡太二冠の金言に学ぶAI時代の数学的教養

入試数学で頻繁に使われ始めた「●分の1公式」。しかし、安易に使っていると、AI時代に「使えない人」になってしまうかもしれません(写真:pearlinheart/PIXTA)

プロ野球の臨時コーチとして、ほかのスポーツのコーチを招くことがたまにある。これはほかの競技における優れた学びや指導を、野球の指導にも生かそうということである。

似たことは、スポーツの世界に限らず、いろいろあってよいだろう。棋聖戦に勝利してまもなく、将棋の藤井聡太二冠は次のようにコメントしている。

「今は対決の時代を超えて、人間とAI(人工知能)は共存という時代に入ったのかなと思います」

この「共存」という言葉こそ重要だ。また、テレビ画面でもわかるように、棋士の方々の「考え抜く」姿勢こそ見習うべき姿である。

本稿では、藤井二冠の目覚ましい活躍によって注目されている将棋の世界で語られる教訓などを参考にして、来るAI時代を視野に入れた数学の学びと指導を考えてみたい。

人間とAIの共存は十分可能

筆者は大学教員として42年間勤務し(専任、非常勤ともに5つの大学)、大学生約1万5000人に対する授業を文系・理系ほぼ半々で行ってきた。また、全国各地の200を超える小中高校で、のべ1万5000人に対する出前授業も経験した。

現在、日本の数学教育を取り巻く環境は、大きく変わらざるをえない状況に差しかかっている。

経済産業省は昨年「数理資本主義の時代 ~数学パワーが世界を変える~」というレポートを発表。前後して、経団連(日本経済団体連合会)も「文系学生も数学を必修として学ぶ」という提言を出した。

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