武漢の作家が批判の中で訴え続けた壮絶な現実 災難とは人がバタバタと死んでいくことだ

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都市が一時封鎖された中国・武漢市の惨状は世界を震撼させた(写真は2020年2月、新華社/アフロ)
新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、中国・武漢市が封鎖された2日後、武漢在住の著名作家・方方が自身のブログ上で武漢の実情を伝える日記を書き始めた。その真摯な筆致は、不安を抱える多くの中国人の心に響き、読者は“億単位”とも言われた。一体、封鎖下の都市で何が起きていたのか。『武漢日記 封鎖下60日の魂の記録』より、封鎖から1カ月弱が経過し、真実を発信し続ける著者への批判が増すなかでの、鋭い示唆に富む2月16日の日記をお届けする。

知り合いでもなく会ったこともない彼らからの攻撃

2月16日(旧暦1月23日)
災難中には歳月は静かに流れない、
生きる者の死に向かう生があるだけだ

封鎖されて何日になるのか、わからない。今日の太陽は本当に春というに相応しい。昨日の雪はすでに跡形もなくなった。2階から見ると、木々の緑が陽光を浴びて輝いている。

昨夜と比べて、すでに心はずっと落ち着いているが、北京からの攻撃【編集部注:前日2月15日の日記で、著者が「デマを振りまいている」とネット上で攻撃を受けた、と綴った】はなおも続いている。どのような力が働いて彼らがこのような憎悪を持つのか、まったく理解できない。まるで彼らは一生の間、ずっと何かに憤慨しているかのようだ。多くの人、多くのことを憎んでいる。相手がどこにいようが、どんな状態であろうが、変わらず執拗に恨んでいる。そして、彼らに恨まれた私は、彼らと知り合いではないし、会ったこともない。

「飛象網項立剛」〔訳注:飛象(ダンボ)網は通信情報サイト、項立剛はその創設者でCEO〕は昨日そそくさと、私を陥れるブログの記事を削除した。ところが、また別の文章を書いている。「あなたはどこで写真を手に入れた? あなたは家に閉じこもって、社会をパニックに陥れ、大量の感染症死亡者が放置されているというデマ情報を流した。あなたに良心はあるのか?」

これには泣くことも笑うこともできない。この人は通信業界で仕事をしていると聞いているが、どうしてこんな幼稚な質問をするのか? ドローンが高空からピンポイントで人を殺す時代に、私は家にいると外の写真を見ることができないというのか? 私には自分の住む街で何が起きているのかを知る手立てがないというのか? 私の日記を読んだ人は誰もパニックになっていないが、あなたはパニックになったのか?

私は感染地区にいて、家に閉じ込められているが、ネットを通して友人や同僚と交流している。そして、毎日見聞きしたことを日記に書き、ひたすら事態の好転を待っている。あなたは北京にいて、自由があるのに、わざわざ策略を用いて毎日私を罵っている。あなたこそ、良心があるのか? あなたに言っておく。多くの人が私の日記を読み、安心したと言っているのだ。

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