武漢の作家が批判の中で訴え続けた壮絶な現実 災難とは人がバタバタと死んでいくことだ

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「友人の医師」について言うと、じつは1人ではない。項立剛たちに告げなければならない。彼らはみな、それぞれの専門分野の最高レベルの人たちだ。私はもちろん彼らの名前を口外するようなことはしない。口外しない理由は、あなたたちのような人間のクズがいるからだ。

しかし、無能な当局は容易にあなたたちを信用してしまう。私は友人たちを理由もなく傷つけるようなことはしない。今日の午後、友人の医師(もちろん、彼も専門分野の最高レベルの人物だが、名前は明かせない)が電話をよこした。私たちは長い間連絡を取っていなかった。話題は私の籠城日記になり、彼は、他省の人から武漢の感染症の状況を尋ねられ、私の日記を読むように勧めておいたと言った。さらに、その日記で真実がわかるとも伝えたという。私たちは当然のように感染症のことを話し合った。

患者の多くは軽症で治癒率が高い

彼は言った。感染症はいま抑え込むことができるようになった。その毒性はしだいに弱まったが、伝染力はしだいに強まっている。現在の患者の状況を見ると、感染者の多くは軽症で、治癒率が高い。致死率が下降しないのは、感染症発生の初期段階の重症患者がとても多いからだ。こうしたことは、じつは私も以前触れた。現在の重症患者は発生初期の「ストック」なのだ。医師たちの勤務する病院は同じではないが、現状に対する見方はほとんど変わらない。全体の状況は好転している。それは以下の点にまとめられる。

一、毒性が弱まった
二、支援部隊の到着で、医療スタッフは余裕を持って仕事ができている
三、医療用品はもう品薄ではなくなり、自己防御の条件が整った
四、医師たちは長きにわたる臨床治療を経て、薬の投与にも経験を積んだ

雷神山病院の王(ワン)院長は、本当の感染症の転換点はすでに到来している、と公の場でメディアに語っている。彼らは新たな発病の状況から、発熱者の数は減少傾向にあると判断した。ゆっくりと、同じペースで減少しており、反転は見られない。王院長は、「私は自信を持っています」と言った。

これこそ、私たちが待ちわびていたよいニュースではないだろうか?

友人の医師は午後、また動画を送ってくれた。動画の内容は、1人の若者が医学論文などをわかりやすく解説するものだ。その中で、彼は同じ言葉を繰り返していた。自分が読んでも理解できないものを、勝手に批判してはいけない。私はこの考えに大賛成だ。

自分の文化レベルと理解能力でわからないことは、まずよく観察し、よく考えるべきで、結論を急いではいけない。ましてや、安易に罵倒などしてはいけない。とりわけ、項立剛たちの愚かなフォロワーだ。彼らは私を批判する書き込みで、火葬場に家族がいなかったわけではないだろう? とか、家族が遺品を持ち帰らなかったわけはないだろう? などと言っている。私は返す言葉が見つからない。彼らがもし平時の常識でこの災難を理解しようとしているのなら、いくら説明してもわかってはもらえないだろう。

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