料理が面倒でもハマる「下味冷凍」抗えない魅力 冷凍の達人が教える上手な冷凍、解凍の方法

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つねに幼児がいる状態だったので、子どもが寝ている間に冷凍ストックを準備。味つけを両親には和風、子どもたちにはこってり目など分けて出せたのも、冷凍をしていたからこそ。長男の高校受験のときは、ピザ生地やパン生地、チャーハンなどを冷凍しておいて夜食にしていたという。

冷凍ストック作りには、通常の料理とは異なる工夫や注意が必要である。そのため、松本氏はこれまで、冷凍技術についていろいろな角度から勉強してきた。食品冷凍に関わるたくさんの本を読む。医師とコラボした企画の際は、医師にいろいろ質問した。市販の冷凍食品もいろいろと試し、アイデアの参考にもした。

家電メーカーから冷蔵庫のモニターを頼まれた際も、質問して知識を増やした。現在、料理スタジオにあるものも含め、冷蔵庫を6~7台所有し、違いを体感している。また、運営しているカフェには業務用冷蔵庫があり、家庭用冷蔵庫との違いも知っている。

松本氏が、冷凍レシピの本を作るようになったきっかけは、2013年に最初の本を出した後、自宅からテレビに出演した際に、冷凍ストックが入った冷凍庫が映ったことだった。冷凍ストックを作ることは、多忙な生活で必要に迫られた面もあるが、料理する楽しみを増やし、仕事のうえでも役に立っている。松本氏自身の人生の幅を広げた技術である。

進化し続ける冷凍技術

日本人の冷凍食品とのつき合いは半世紀に及ぶ。『きょうの料理』が初めて取り上げたのは、1969年。ホームフリージングと呼ばれ流行したのが1980年代。どちらも、共働き女性が増えた時代だった。そして今も仕事を持ちながら家事を担う人が増えている。多忙な家庭料理人が増えるたび、冷凍食品は注目されてきたのだ。

そして、その技術は進化し続けている。『きょうの料理』が当時取り上げたのは、市販の冷凍食材で、まだコロッケやギョウザなどの冷凍食品は市場に出ていなかった。1980年代には、家庭での野菜類の冷凍技術は発展途上だった。今は、市販の冷凍食品があふれかえり、家庭でもコツさえつかめば、さまざまな食材や食品が冷凍できるようになっている。家庭料理が進化し続けていることが、冷凍という視点からもうかがえるのだ。

コロナ禍で外食が制限され、料理する機会が増えた人たちも多いことだろう。下味冷凍をうまく使って、日々の料理をラクに楽しくしてみてはいかがだろうか。

阿古 真理 作家・生活史研究家

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あこ まり / Mari Aco

1968年兵庫県生まれ。神戸女学院大学文学部卒業。女性の生き方や家族、食、暮らしをテーマに、ルポを執筆。著書に『『平成・令和 食ブーム総ざらい』(集英社インターナショナル)』『日本外食全史』(亜紀書房)『料理に対する「ねばならない」を捨てたら、うつの自分を受け入れられた』(幻冬舎)など。

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