アベノマスクで露呈「無策でもやる」日本の悪癖 「何かせねば精神」が日本人を窮地に追いやる
今年1月、国内初のコロナ感染者が確認されてから今日まで、国・自治体・医療現場・企業・学校、そして国民はさまざまな対策に取り組んできました。
ここで大切なのが、「現状認識」です。感染の状況や事業・暮らしへの影響を見極め、客観的な現状認識に基づいて合理的に対策を進める必要があります。
ところがコロナ対策の多くは、「とにかく何か手を打たねば」ということで、客観的に現実を見ず、合理的な思考がないがしろにされているようです。
「とにかくオンライン化しろ!」
先日、知り合いのコンサルタントのAさん(愛知県在住)から、クライアント企業のコロナ対策について話を聞きました。
Aさんは、昨年からX社(静岡県)で人事評価制度を改定するプロジェクトを進めてきました。新制度が固まり、テスト施行に向けて今年8月から事業所ごとに従業員を集めて説明会を開催することになりました。
ここで、X社の担当者から「コロナ対策として、説明会をオンライン開催にしてもらえませんか」と依頼されました。担当者によると、X社はPCが従業員1人1台になっておらず、セキュリティの問題もあり、全従業員がオンライン会議に参加できるネット環境になっていません。そこで、従業員には通常どおり会議室に集まってもらい、Aさんだけオンラインで参加する形にしたいとのことです。
担当者:その点はご不便をお掛けします。
Aさん:コロナ対策としても、効果があるんですかね。
担当者:ありませんか?
Aさん:ええ。オンラインだとセキュリティ対策上、私は名古屋市内の事務所に出勤し、アシスタントにサポートしてもらって運営する必要があります。私とアシスタントが(感染者が増えている)名古屋市内に集まるよりも、私1人で御社に伺う方が、ずっと感染リスクが小さいと思いますよ。
担当者:おっしゃることはわかります。そこをなんとかオンラインでお願いできませんか。
Aさん:どうしてもオンラインなんですか。人数を減らして分散開催するとか、他にも色々なやり方が考えられますが。
担当者:トップから「会議をオンライン化せよ!」という命令が出ています。今まで通りのやり方を続けます、は絶対に許されないんです……。
自社のネット環境や取引先の状況を確認し、色々な方法を比較検討し、ベストの対策を選ぶ。トップに状況と検討結果を伝える――。この当たり前のことが、X社では難しいようです。
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