経営トップも危機感を抱くJFEの手詰まり 設備と従業員の高齢化がボトルネックに
かつては“企業統合の成功例”ともてはやされたJFEスチール。2003年にNKKと川崎製鉄が合併してできたJFEホールディングス(HD)の中核子会社で、国内2位の鉄鋼メーカーだ。そんな同社がこれまでにない閉塞感にさいなまれている。
4月24日に開示したJFEHDの2013年度決算は売上高3兆6668億円(前年度比15%増)、営業利益1533億円(同3.8倍)と大幅な増収増益になった。ただし、増益要因のほとんどは、前期に発生した棚卸資産の評価損がなくなったこと(約1000億円)やコスト削減の積み上げ(約800億円)によるもの。JFEスチールの単独粗鋼生産量は2867万トンと、前年度比2.5%増にとどまった。
日本全体で見ると、2013年度の国内粗鋼生産量は1.1億トンと前年度比で3.9%増えている。ライバルの新日鉄住金が同5%増(統合前の新日本製鉄と住友金属工業の単純合算との比較)、神戸製鋼所が同8.6%増と、自動車や建設向けの鉄鋼需要増を満喫したのに比べると、JFEは伸び悩んだ感が否めない。
背景にあるのが、従業員の年齢構成や設備の老朽化対策が十分になされなかった点だ。
林田社長が「現場力の低下」を吐露
3月下旬、日本鉄鋼協会が主催した講演会でのこと。競合の鉄鋼メーカー幹部やメディアが集まる前で、JFEスチールの林田英治社長は「職場が若い人ばかりだと危険だ」「現場の力が落ちてきている」と、自社の現状について30分にわたって熱弁を振るった。製造業の経営トップが公の場で「現場力が低下している」と危機感を吐露するのは異例の事態だ。
鉄鋼事業の現場責任者である作業長や班長は、JFE発足当時は40~50代だったが、現在は20~30代が大半だという。「20世紀はたたき上げが現場のリーダーだった。21世紀はそれまでの半分の時間でリーダーになっている」(林田社長)。
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