経営トップも危機感を抱くJFEの手詰まり 設備と従業員の高齢化がボトルネックに

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西日本製鉄所(福山)の鋼板めっきライン

決算発表会見で、岡田伸一・JFEHD副社長も「この決算には決して満足していない」「人材の高齢化や若手が増えたことや、超円高時代に国内の設備投資を怠ってきた」ことが思ったような増産ができなかった要因だと説明した。

JFEは「国内基盤整備」を2014年度の経営の最重要課題に掲げる。実施項目は2つ。まずは老朽化した設備の更新やボトルネックになっている原料運搬設備などの改良を積極的に行う。単独粗鋼生産量を3300万トンの生産能力限界にまで引き上げる狙いだ。

もう1つは、65歳を超えた100人程度のベテラン技術者を「テクニカルエキスパート」として雇用を継続。従来に比べて経験不足の若手が増え、操業トラブルに見舞われやすくなった現場での技術伝承に力を入れる。

2014年度の業績見通しについて、JFEHDは自動車メーカーなど顧客との価格交渉が決着していないことから開示を見送った。単独の粗鋼生産量については現時点では未定としながらも、「3000万トンを目指したい」(岡田副社長)と前年度比で4.6%増程度となる見通し。

ただし「今期のコスト削減は400億円程度にとどまる」(同)としており、1トン当たりでは1000円強のコスト削減になりそうだ。これは、同3000円弱だった2013年度を大きく下回る。

コスト削減の余力が縮小

ライバルに先駆けて2003年に統合を果たし、コスト削減努力を続けてきたJFEHD。ピーク時だった2006〜2008度には営業利益で5000億円超、2ケタの営業利益率をたたき出した。しかし、統合から10年以上が経ち、コスト削減の余力は縮小傾向にある。今後も、中国を中心に鋼材の過剰生産が続く状況では、かつてのような収益水準は期待できない。

JFEに遅れること10年、2012年に新日鉄と住金が合併し、新日鉄住金が誕生した。同社は5月9日に2013年度決算の発表を予定している。合併効果が本格化する2014年度は「1000億円を超えるコスト削減を打ち出してくるだろう」(証券アナリスト)。市場の注目は新日鉄住金にばかり集まる。

停滞から抜け出すための次の一手をJFEは打ち出せるか。10年余りを経た統合の真価が問われている。

(撮影:ヒラオカスタジオ)

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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