工場異変~日本の製造業は大丈夫か~

安全・品質・モラルが問われる

パナソニックはプラズマパネルの生産拠点として、尼崎工場(兵庫県)に、累計4000億円以上を投資。だが、3棟全ては今年度中に休止、うち1棟は不動産投資会社に売却の方向(撮影:ヒラオカスタジオ)

近年、日本の工場では、緊張感が欠けていたとしか考えられない、いくつもの事態が多発している。

深刻な事故が頻発

化学メーカーではこの数年に深刻な事故が頻発した。今年1月には三菱マテリアルの四日市工場(三重県)で爆発事故が発生。死者5人、負傷者含め、18人が犠牲となった。原因は究明中だが、問題の熱交換器は8年間も洗浄されていなかったとされ、まさに“基本動作”が欠けていたというしかない。ほかにも、2012年には、4月に三井化学の岩国大竹工場(山口県)、同9月に日本触媒の姫路製造所(兵庫県)で、11年11月には東ソーの南陽事業所(山口県)でも爆発事故が起こっている。いずれも死傷者発生を伴う事故だった。

鉄鋼業界も同様の事故が続いた。新日鉄住金の名古屋製鉄所では今年1月、発電所のショートをきっかけに操業停止に追い込まれた。コークス炉内に溜まったガスを処理するために、燃焼させたことで大量の煙が発生したのである。当日は地元の消防署が出動、報道各社のヘリコプターが飛び交った。操業停止や復旧作業などによって、業績への影響は最大で100億円に達するという。

JFEホールディングス傘下のJFEスチールでは、13年11月に連続鋳造機が数週間にわたって操業を停止。日新製鋼ホールディングス傘下の日新製鋼でも6月には冷間圧延機で火災、11月には高炉で送風口の一部が損傷するなど、操業トラブルに見舞われた。鉄鋼業界出身で、製造業向けのコンサルタントの一人は、「人材不足と急激な増産が事故増加の背景にある。生産工程の自動化が進んでも、機材の調整などはまだ人手によるところが多い」と指摘する。長きにわたる従業員の採用抑制で、増産体制を構築できず、メンテナンスのために十分な時間がとれないことなどが、トラブルの遠因のようだ。

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