復調パナソニックが上方修正"しない"理由 第3四半期は高進捗だが、通期計画は据え置き
パナソニックが2月4日発表した2013年4月~12月期(第3四半期)決算は、売上高5兆6798億円(前年同期比4.4%増)と微増ながら、本業の儲けを示す営業利益が2631億円(前年同期の約2.1倍)と大幅改善。純利益は2430億円と3期ぶりに黒字化し、第3四半期としては過去最高を更新した。
同社は昨年10月末、円安や消費増税前の駆け込み需要の追い風を受け、2013年度の営業利益見通しを期初時点の2500億円から2700億円に上方修正していた。今回発表した第3四半期段階で、97%超という高い進捗率となった。純利益については年金制度の変更に伴う一時利益の計上などもあり、通期計画の1000億円をすでに1400億円以上上回っている。
ここまでの進捗を考慮すれば、今年度業績の上振れは濃厚に見える。だが、パナソニックは通期計画を据え置いた。それはなぜか。
固定費圧縮の効果大
「この中期計画では徹底した事業構造の改革をする。そのために必要な構造改革費は、できるだけ前倒しで計上していく」(河井英明常務)
パナソニックは、前期までの大赤字からの“反転攻勢”を狙い、今期からの新中期計画の下、法人向けシフトなどの改革を進めている。足元の業績の牽引役となっているのは、成長分野に位置づける車載と住宅という法人向けの2分野だ。第3四半期における前年同期比の営業増益幅820億円を分野別に分解すると、実に約600億円をこの2分野が占める。
住宅分野は照明、配電、水回りなどラインナップの広さが売り。4月の消費増税を控え、住宅着工が伸びたことで全体の需要が膨らんだ。もう一方の車載分野は、自動車の電動化が進む中、円安を背景とする日系自動車メーカーの好調が追い風となった。
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