アベノミクスの影響で景気が回復していると言われていますが、その一方で国内の半導体業界が苦戦しているという報道が目立ちます。たとえば、半導体大手のルネサスエレクトロニクスは、工場や開発拠点の統廃合を進めるなど、昨年に続いてリストラ計画を行うことを発表しました。半導体装置大手の東京エレクトロンも、不採算事業である太陽電池の製造装置事業から撤退する方針を固めています。
今回は、半導体関連企業である東京エレクトロン(以下、東京エレク)とアドバンテストの決算を分析しながら、半導体業界の現状とその特徴について解説していきます。
景況感に敏感に反応する半導体業界
まず、半導体の集積回路(IC)の生産状況を示す「生産指数 集積回路」の指標から全体の動向を見てみましょう。
アベノミクスが本格的にスタートした2013年4月以降、前年比10%台という好調ペースが続いていましたが、10月、11月は前年比マイナスとなりました。ただ、12月は10.9%まで戻しましたから、生産の悪化が続くかどうかは、もう少し様子を見る必要があります。いずれにしても、半導体産業が落差の激しい業種であることは間違いありません。
半導体産業は「産業のコメ」と呼ばれているように、自動車、パソコン、携帯電話、家電など多くの分野で必要不可欠なものです。そのため、需要は景況感に左右されやすく、生産の増減が激しくなるのです。さらに、この業種は研究開発費や設備投資を多く必要としますから、景気の波にもまれやすいという特徴があります。
今回、分析する東京エレクとアドバンテストは、半導体そのものを製造しているわけではありませんが、半導体の生産に深く関連する企業なので、同様に景況感に敏感な業種だと言えます。
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