好不況の波が激しい、半導体業界の現状は? 東京エレクトロンとアドバンテストを分析する

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では、同社の安全性を調べてみましょう。自己資本比率を計算しますと、59.1%となります。こちらも東京エレク同様、非常に高い水準です。同社の決算5ページ以降参照)。

冒頭でも説明しましたが、半導体業界というのは市況の波が大きい業界です。業績の変動の激しい業界に属する企業では、自己資本比率がある程度高くなければ景気の波を乗り越えることができず、安定性を損なってしまうのです。ちなみに、電鉄会社、ガス会社、あるいは、原発事故以前の電力会社のように、それほど収益にブレがなく、コンスタントに利益が出るという業種では、自己資本比率が低くてもそれほど問題ありません。

別の見方をしますと、半導体業界は、好況時にはたくさん儲けることができる業種だと言えます。理由は2つあり、ひとつは高度な技術や設備投資を要するため、参入が比較的難しいこと。もうひとつは、装置産業ですから、損益分岐点を超えると大きな利益を生むことができるからです。

つまり、好況時にたくさん儲けて、その利益のすべてを設備投資するのではなく、ある程度は蓄えておくことで、安全性を維持しているのです。逆に不況が長引いてしまいますと、この業種は厳しい状況に追い込まれるおそれがあります。

アドバンテストの場合は、多少業績が悪化したと言っても、自己資本比率の水準が高いですから、今のところは何の問題もありません。ただ、1月29日に、格付投資情報センター(R&I)が、同社の発行体格付けの見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更したという報道がありました。主力の半導体検査装置の需要の先行きが不透明だということです。気になるニュースではありますが、現在の格付けは「シングルAマイナス」とまずまずの水準ですので、それほど悲観的にとらえる必要はないのではないかと思います。

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小宮 一慶 経営コンサルタント

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こみやかずよし / Kazuyoshi Komiya

小宮コンサルタンツ代表取締役CEO。大企業から中小企業まで、企業規模や業種を問わず、幅広く経営コンサルティング活動を行う一方、講演や新聞・雑誌の執筆、テレビ出演も行う。著書に『「なれる最高の自分」になる方法』『ビジネスマンのための「習慣力」養成講座』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)、『小宮一慶の「日経新聞」深読み講座』(日本経済新聞出版社)、『株式投資で勝つための指標が1冊でわかる本』(PHPビジネス新書)など。

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