好不況の波が激しい、半導体業界の現状は? 東京エレクトロンとアドバンテストを分析する

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収益悪化と減損が業績押し下げたアドバンテスト

次に、半導体の検査機器メーカーであるアドバンテストの平成26年3月期 第3四半期決算(2013年4~12月)を見ていきましょう。同社の財務諸表は米国方式を採用していますので、形式が少し異なります。

損益計算書(6ページ参照)から収益性を調べますと、「売上高」は971億円から792億円まで大きく減少しています。「売上原価」は横ばいですので、「売上総利益」は売上高の落ち込みがそのまま響いて、約180億円減となっています。

「研究開発費」は、ほぼ横ばいです。アドバンテストも東京エレク同様、巨額の研究費を積んでいることがわかります。

そして「減損費用」が130億円計上されていることから、「営業利益」は8億円からマイナス344億円まで大きく落ち込みました。ただ、減損費用がなくても、営業損失となることを考えますと、業績そのものが悪化していると言えます。売上高を落としたうえ、減損しないといけないということで、大幅な営業損失が出てしまったのです。最終的に、「四半期純損失」はマイナス19億円からマイナス341億円まで、赤字幅が拡大しています。

この原因は、パソコン市場の縮小とスマートフォン市場の低迷が重なり、半導体装置の需要が予想以上に落ち込んだためです。アベノミクスによって景気がよくなったと言われていますが、一部、その恩恵を享受できない業種があるのです。

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