ルネサス鶴岡工場、ソニー買収後の先行き 収まるところに収まったが不透明要素も多い
ルネサスエレクトロニクスは1月29日、傘下のルネサス山形セミコンダクタの鶴岡工場を3月末付でソニーに売却すると発表した。譲渡価格は75.1億円で、12インチウエハラインが対象となる。
ルネサス山形には従業員912人が在籍するが、鶴岡工場で働く従業員680人のうち、8割がソニー子会社のソニーセミコンダクタに転籍する。5インチラインは2~3年内に閉鎖を予定している。
鶴岡工場は旧NECエレクトロニクスの半導体工場で、任天堂向けをはじめとするシステムLSIを生産している。ここ数年は稼働率低下に苦しんでおり、一時は閉鎖の決定が下されたが、技術力には定評があり、閉鎖を惜しむ声は地元や半導体業界から多く寄せられていた。
ソニーが買収を決めたのも、鶴岡工場の技術者たちにも大きな魅力を感じていたためだ。CMOSの製造工程は高い生産技術が必要で、ソニーは鶴岡工場で最新の積層型CMOSを生産する計画。「2年後にはイメージセンサーの市場は2倍に膨らんでいるかもしれない」(ソニー幹部)と見ており、スマートフォンやタブレットなどのモバイル機器市場でのシェア拡大に意欲を燃やす。
買収後も一定期間はルネサスブランドの半導体を受託生産することでソニーと合意している。ルネサスは2~3年内に、甲府工場をはじめとする工場閉鎖や生産ラインの集約を計画しており、生産終了品目を選定中。鶴岡工場で生産する半導体は、那珂工場へ移管するか生産を終了するか検討している。
余剰能力の使い道は未定
ただし、今回の買収の中身には、流動的な部分もある。鶴岡工場には600台の半導体製造装置があり、このうち200台弱がルネサスの那珂工場へ移設されると見られている。ソニー側は300台弱を買収対象に含めており、残る100台強は中古装置として売却される見込みだ。
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