好不況の波が激しい、半導体業界の現状は? 東京エレクトロンとアドバンテストを分析する

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太陽光パネルの減損が足を引っ張った東京エレク

では、東京エレクの平成26年3月期第3四半期決算(2013年4~12月、8ページ参照)を分析してみましょう。

収益性を調べるために損益計算書を開きますと、「売上高」は、3585億円から3929億円まで約9.6%伸びています。「売上原価」と「販売費及び一般管理費(販管費)」は微増したものの、「営業利益」は53億円から72億円まで、約35.8%も伸びました。

この業界の特色ですが、販管費の中に「研究開発費」として573億円計上されています。これは販管費のうち46.6%を占めているということになります。半導体関連産業は、巨額の研究開発コストを要する、ある意味“カネ食い虫”の業種であることがわかりますね。

以上のことから、業績そのものは比較的好調だと言えます。ところが、「四半期純損失」を見ますと、マイナス9億円からマイナス356億円まで赤字額が大幅に増えてしまっています。

この原因は、「特別損失」の「減損損失」が465億円計上されたことです。もう少し詳しく説明しましょう。このうち、最も大きなものは、2013年3月に太陽光パネル製造装置事業を拡大するために買収した、スイスのテル・ソーラーAG(旧エリコン・ソーラー)の減損326億円です。

同事業は、2つの原因によって業績が悪化して撤退することになりました。ひとつは、主に中国勢によって太陽光パネルの供給過剰が続いて業績が伸び悩んだこと。もうひとつは、結晶シリコンの使用量が少ないという強みで売り出した「薄膜シリコン型太陽光パネル」が、シリコン原料の需給が緩んだことで、需要が低迷したということです。その結果、買収からわずか1年で巨額の減損を計上せざるをえなくなりました。

次ページ誤算で巨額損失を計上。だが財務は問題なし
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