好不況の波が激しい、半導体業界の現状は? 東京エレクトロンとアドバンテストを分析する

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このほかにも、半導体製造装置事業を行うTEL NEXXの事業計画を見直したことで、50億円の減損を計上。さらに事業再編に伴い、国内の工場や土地を売却するとして、80億円の減損を計上しています。

これに関連して、貸借対照表(同7ページ参照)の「資産の部」にある、「無形固定資産」のうち「のれん」を見ますと、383億円から99億円まで大幅に減少しています。「のれん」は、企業を買収して子会社とする際に、被買収企業の純資産を超えた買収額です。そして、子会社が期待された業績を出さない場合には、のれんを減損する必要が生じます。つまり、先ほども説明したように子会社の業績が悪化してその価値が下がったことが、のれんを含めた減損になっているのです。

半導体製造装置事業が軌道に乗るか

ただ、会社の安全性については問題ありません。貸借対照表から自己資本比率(純資産÷資産)を計算しますと、70.9%。一般的に固定資産を多く必要とする業種では、20%以上あれば安全だと考えられていますから、東京エレクは非常に高い水準だと言えます。

そして、「負債の部」から有利子負債を調べますと、「短期借入金」が119億円あるだけです。一方、「資産の部」の「現金及び預金」は635億円あります。実質的には無借金だと言えます。現預金は、大企業ならば一般的には月商の約1カ月分強あれば十分だと考えられています。東京エレクの場合は、現預金は月商の1.5カ月分にあたりますから、十分な水準だと言えますね。

以上のことから、同社は本業に関しては比較的順調だと言えますし、安全性にも問題ありません。今後は不採算事業から撤退し、半導体の製造装置事業に集中するという方向に舵を切ろうとしていますが、これが業績に貢献するかどうかに注目です。

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