「家政夫ナギサさん」に日本人がハマる納得の訳

コロナ禍で蓄積したストレスをスッキリと解消

現実の世界ではコロナ禍が長引き、ストレスたまり放題である。おうち時間が長引いて、断捨離して部屋がすっきりした人もいるだろうけれど、気持ちのストレスは片付かない。そんなとき、生々しい生活、あるいは人生の負の部分を描いたドラマは負担になる。『ナギサさん』はそんな今の日本人の状態にぴったりで、とことん面倒なことが省かれている。

1. メイは、会社にキラキラしたアクセサリーをして、ふわふわした服を着ていくが、とがめられることはない。服装の自由
2. 会社の同じ部署の人たちは仕事以外のプライベートの話題(例えばマッチングアプリで婚活したすえの結婚)を共有して、風通しがいい。上司とも部下ともうまくいっている。ちょっと気になるところがあっても率直に話せばすぐにお互い受け止め合う
3. ライバル会社の営業(瀬戸康史)ともすぐに仲良くなり、健全な競争ができる
4. 営業先の人も、おしゃべりだったり、好意的だったりするが、過剰にプレッシャーをかけてくる人はいない。基本、親切
5. 女性の同僚とも仲良し。主人公が同僚(高橋メアリージュン)とライバル会社の営業マンと三角関係になりかかるが、嫉妬で仲違いするドロドロ展開はなく、あっけらかんと解決。女の友情は決してひび割れない
6. 家族関係も良好。母親(草刈民代)が若干、娘に「男を超えろ」と呪いをかける毒母のようだが、それほどの締め付けはない。揉めて家出していた妹(趣里)との確執もナギサさんの料理をみんなで食べることでまるっと解消

ドラマの題材になりがちなドロドロがいっさいない

『ナギサさん』にはこれまでドラマの題材になりがちな、三角関係、上司や部下との揉め事、仕事の失敗、家族との問題などが1つもない。モラハラ、パワハラいっさいなし。モラハラを気にして、社員同士で飲み会をしないということもなく、しょっちゅう集まって、コミュニケーションを円滑にしている。

『半沢直樹』がストレスをためにためたすえ、「倍返しだ!」や土下座強要で発散し解消することとは逆に、『ナギサさんは』は最初からストレスをつくらない。極めて平和的なのだ。

次ページ「ありえない」「リアルじゃない」と否定するほどでもない
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