勉強嫌いな子にあえてゲームをさせても良い訳 子どもの「好き」を引き出すことがまずは大切

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なかなか宿題が進まない子どもをやる気にさせるにはどうすれば良いのでしょうか(写真:Fast&Slow /PIXTA)
この夏、日本の多くの小学校では、コロナ休校による授業進行の遅れを取り戻すため、夏休みを短縮。子どもたちは、未だかつてなかったほどに短い夏休みを迎えています。
そんな短い夏休みに子どもたちに特別な体験をしてほしいと、立命館大学が小中高一貫教育を行う私立の立命館小学校(京都府)らと連携して、「トマト」を題材としたオリジナルな自由研究を企画しました。
『子どもの未来が変わる 英語の教科書』の筆者であり、立命館小学校ICT教育部長(*)としてこのプロジェクトを押し進めた1人でもある、正頭英和教諭が、本書をもとにコロナ禍での夏休みの学校教育、そして家でも手軽にできる勉強方法を紹介します。
*ICT教育とは、インターネットを介してつながったパソコンやタブレット端末などを教師と子どもが活用する教育。教育(エデュケーション)と技術(テクノロジー)を融合させることから、EdTech(エドテック)とも呼ばれています。

【2020年8月27日11時50分追記】初出時、自由研究の企画主体者にかかわる記述に不備がありましたので上記のように修正しました。

立命館小学校では今まで、ゲーム『マインクラフト』を活用した「問題解決型学習(PBL)」を実施してきました。これは、子どもたち同士の協働作業により、京都の観光スポットを画面上に作成し、海外とオンラインでつないで英語で作品のプレゼンテーションを行ったり、フィードバックをもらったりするというものです。

マインクラフトでお互いアドバイスし合いながら観光スポットの再現に取り組む子どもたち(写真:筆者提供)

「トマトアドベンチャー」はさらに踏み込んで、系列の立命館大学も巻き込んだ、オンラインを活用した体験型学習のプロトタイプです。

有志の5~6年生7人が参加した3日間にわたるこのオンライン・ワークショップでは、日本とイタリアをライブで結び、子どもたちが自宅のキッチンでトマト料理やピザを自ら作りながら、身近な野菜であるトマトをテーマに、フードロス問題を解決する方法を考える「問題解決型学習」を行いました。

ピザ職人が本格的な作り方を伝授する

最初の2日間では、イタリア・ナポリのピザ職人が本格的なピザ生地の作り方を伝授し、トマト会社の関係者が農場から、イタリアのトマトを取り巻く現状について伝えてくれました。

その後、子どもたちは、フードロスを解決するためのオリジナルなトマト料理のアイデイアを考え、1週間後の最終日にプレゼンしました。

実際に訪れることはできないにせよ、約1万キロの距離を超えてライブで聞いた言葉、画面で見た現地の生活から触発される学びは多かったのだと思います。

ICTをフルに活用して実現した自由研究「トマトアドベンチャー」。イタリアのピザ職人から指導を受けて生地からピザを作ったり、トマト生産者の現場とつながったりと本物に触れながら、子どもたちはフードロスという社会課題へ対峙することを学んだ(写真:筆者提供)

トマトのお味噌汁やお好み焼き風のピザなど、日本の食文化を融合させた数々のアイデイアも披露し、審査を務めたナポリのピザ協会会長にも「食への愛情と情熱がある!」と感嘆していただきました。今後は夏休みに限らず、オンラインを活用した体験型学習の取り組みを増やしていく予定です。

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