説明が上達したい人に知ってほしい数学的思考

連立方程式を解くことがどう人生に役立つか

「数学を学ぶ」のか「数学で学ぶ」のか(写真:metamorworks/iStock)

書店に足を運ぶと、いわゆる「数学の学び直し」を目的とした書籍が多く並んでいることに気づきます。AI(人工知能)時代という言葉が飛び交うのもその一因か。あるいは知性と実力のないビジネスパーソンは淘汰されるという危機感からか。いずれにせよビジネスパーソンが数学を学び直すモチベーションが高まっている。私はそのように感じます。

なぜ彼らは数学を学び直したいのでしょうか。「かつて苦しんだ数学をちゃんと理解したいという知的欲を満たすため」「AIを理解するため」というのが一般的な理由かもしれませんが、それだけではないと私は考えています。

言葉の使い方を学ぶ

私は数学という学問を「言葉の使い方を学ぶことができる学問」と定義しています。ここでいう言葉を私は「数学コトバ」と命名しています。初めて聞いた人がほとんどだと思いますが、いわゆる接続詞を指すことが多いと思っていただいて結構です。数学で使い方を学ぶ言葉だから数学コトバ。数学とはこの数学コトバが主役の学問であり、数字や計算は主役ではありません。

「A すなわち B」:ある事実をもとに主張するとき
「A なぜなら B」:主張と根拠をつなぐとき
「A ゆえに B」 :因果関係を説明するとき
「A 一方で B」 :相対する概念を持ち出すとき
「A 以上より B」:結論を示すとき

拙著『数学的に考える力をつける本』ではもっとたくさんの数学コトバを詳しく解説していますが、この記事では代表的なものとしてこれらを挙げておきます。

「数学とは、言葉の使い方を学ぶことができる学問である」

私がこの話を企業研修や講演ですると、聴講者の9割が戸惑います。それはそうです。かつて数学の授業では数字を使って計算問題を解くことがほとんどだったはずですから。私たちビジネスパーソンは自ら計算をして正解を導くことなどほとんどしません。電卓やエクセル、AIなどが瞬時に計算をします。便利なものです。そして強調したいのは、データを処理する計算は完全に機械の仕事だということです。

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