世界の株式市場は、アメリカを中心に高値圏を保っている。6月初旬の雇用統計発表後にアメリカ株(S&P500)は3200前後まで上昇、その後は株高・株安の双方の要因で綱引きとなり、3000を超えた高値圏で上下しながら推移した。7月に入ってからも、経済指標改善や中国株の大幅高を受けて、再び6月初旬の高値に接近しつつある。
株高を支える2つの要因とは?
1つ目の株高要因は、アメリカの経済指標が総じて事前予想を上振れていることである。例えばISM(米供給管理協会)による企業景況感サーベイは製造業・非製造業ともに、6月調査時点で中立水準とされる50を超える水準まで改善している。
定量データでも、雇用統計では2カ月連続での大幅な雇用増加が示された。これらだけをみれば、アメリカ経済が、5月初旬に最悪期を脱した後、V字軌道で回復しているように見えなくもない。ただ後述するが、筆者は、こうした経済指標の改善が続かないリスクがあると考えている。
2つ目の株高要因は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和の効果である。FRBが社債を大規模に買い支えるスキームを早々に発動、一時大きく拡大した社債スプレッドは縮小し、市場での流動性は潤沢に戻った。
そのため事業会社の資金繰り状況もかなり改善した。6月のFOMC(米連邦公開市場委員会)では、金融政策は据え置きだった。だが、インフレ率の上振れを許容しつつ強力な金融緩和を徹底するという点では、メンバーの意見が集約されていることが議事要旨で明らかになっている。
今後は、緊急措置としての流動性供給拡大から、財政政策と一体となった国債購入拡大に緩和政策をシフトさせるだろう。経済ショック鎮静化とデフレ阻止に挑むことに対しては、多くのFOMCメンバーが賛意を示しており、FRBによる金融緩和政策への期待は今後も株高を支える要因になるだろう。
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