日経平均が長期上昇でも目先イマイチと読む訳 悲観する必要はないが複数の波乱要因に注意
今回は、結論から言おう。日本を含む主要国の株価については、引き続き長期的に上昇基調を予想する。
なぜ「中長期の株価上昇」を見込むのか
具体的には、2020年末の日経平均株価で最大2万4000円までを見込んでいる。ただ、この2万4000円という数値自体には意味は薄く、来年以降も継続する株価上昇の通過点だ、と考える。
こうした主張は、3月16日付の当コラム「日米の株価が『底値圏』に達したと言えるワケ」の延長線上にある。すなわち、「株価に短期下振れリスクは残るが、そろそろ株価下落は終わりだと考えてもよい」と、日本株の大底形成を示唆して以来、株価上昇見通しをずっと続けているわけだ。
中長期的に株価の上昇を見込む要因は、大きくは2つある。1つは想定外に早いタイミングで始まった、主要国経済の持ち直しだ。もう1つは、主要国の政策対応だ。
まず1つ目だが、これも詳しくは前回6月8日付の当コラム「日経平均2万3000円超でもあまり驚かないワケ」で指摘していたのでぜひ参照して欲しい。簡潔に振り返ると、主要国経済の持ち直しについては、5月分のソフトデータ(企業や家計の景況感などを表す心理データ)から始まり、5月分のハードデータ(雇用統計や鉱工業生産、小売売上高など、現実の経済活動を推計するデータ)に広がりつつあると考えてきた。
実際、その後も、ソフトデータでは日本の5月の景気ウォッチャー指数などに、4月からの改善が表れた。またハードデータでも、アメリカの5月分の小売売上高(前月比17.7%増)や鉱工業生産(同1.4%増)に、4月対比での5月分の持ち直しが示されている。
株価が大底まで下落した3月後半の段階では「景気の底は4月よりももっと先だろう」という観測が有力であった。そのため、経済の回復が想定より早まったと言える。
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