「株価は暴落するはず」と考える人に欠けた視点 株価は本当に「上昇しすぎている」のだろうか
最近は、自主開催や他社からの依頼で、WEBセミナーの講師を時折務めている。特に自主開催の場合は、以前からセミナーに参加してくださっている方や、週刊のメールマガジンをご購読賜っている方が多い。そうした方は、筆者がこれまでにどのような市場見通しを唱えてきたか、よくご存じだ。
一方でWEBは、「今までの対面セミナーは遠方で参加が難しかったが、WEBなら参加しやすい」「対面よりもWEBの方が敷居が低いように感じる」といった理由から、初めてご参加下さる方の比率が高い。そうした方からよくいただくご質問で一番多い(出演しているラジオ日経のHP上での質問でも同様)のは、「なぜ日米の株価はこんなに上昇しているのですか、ものすごい上昇で、強い違和感を覚えます」といったものだ。
本当に日米の株価は「ものすごい上昇」なのか
それでは、日米の株価は、本当にものすごく上昇しているのだろうか。
たとえばニューヨークダウ(工業株30種平均)で言えば、3月23日にザラ場の最安値1万8214ドルを付けた後は、それからほぼ3週間後の4月9日にはザラ場で一時2万4000ドル台を回復している。
これは、3月後半の株価下落が急速だったため、そこから逆に大きく跳ね戻っただけで、大幅な株価下落の前後ではよくある現象だ。そしてNYダウは、その4月9日から1か月半近く経過した今でも、2万4000ドル台に位置しているに過ぎない。つまりアメリカの株価は、いったんリバウンドした後、やや上昇気味ではあるが「保ち合い商状」だと言えるだろう。
日経平均株価も、3月19日にザラ場安値1万6358円で大底を打った後、1週間もしない同月25日には、一気に1万9500円を超えている。そこからじわじわと時間をかけて上昇傾向にはあるが、2カ月近くも経って、そこから1000円強上昇しただけだ。
つまり、日米株価のここ1カ月以上の動きは、「保ち合いに上昇の毛が生えた程度」であって、「とても力強い上昇」などと騒ぐようなものではない。では、なぜ「日米の株価上昇がものすごい」という違和感が唱えられるのだろうか。
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