「株価は暴落するはず」と考える人に欠けた視点 株価は本当に「上昇しすぎている」のだろうか

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それはおそらく、「新型コロナウイルスが流行さえしなければ、世界の株価は上がり続けていたに決まっているのに、ウイルスの流行で世界は大恐慌に陥り、株価は下がりまくるに決まっている」「これから経済指標や企業収益は深刻な数値になる。だからさまざまな数値の発表を受けて、株価は3月の安値を大きく割り込んでいくに違いない」という思い込みが強過ぎるためではないだろうか。頭の中にイメージされている「株価暴落シナリオ」と比較すると、保ち合いに上昇色が少しだけ乗ったに過ぎない実際の株式市況が、まるで暴騰しているように歪んで見えるのだろう。

日米等の株価が3月で最安値を形成し、それを再度割り込むことなく今でも推移している背景については、しつこいほどこのコラムで述べ続けてきたので、もう繰り返さない。新しい読者の方は、過去の筆者のコラムを検索して、お読みくださればと思う。ただ、「なぜこんなに株価が上昇しているのだ、おかしい!」という声に対して筆者は、「暴落シナリオ通りにコトが進んでいなくても、それが現実なのだからしょうがない」としか答えようがない。

なお、少し本筋から外れるが、前述のようにNYダウは保ち合いに近くとも「ナスダック総合指数の上昇は行き過ぎ」との声はあるかもしれない。確かに、ハイテク株への物色は、景気不振から他に買える銘柄が少なく、「消去法的にハイテク株が買われているだけで、いずれその揺り戻しが来る」、との見解にはうなずけるところもある。

ただ、そうしてナスダック指数の短期反落が生じても、コロナウイルスの流行を契機としたリモートワークやネット娯楽(ネットゲームや動画配信など)の普及加速、5Gの広がりなど、長期的にハイテクセクターを支える実態面の要因はある。期間を長く展望すれば、ナスダック指数の上昇も、行き過ぎとは断言できないだろう。

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