「株価は暴落するはず」と考える人に欠けた視点 株価は本当に「上昇しすぎている」のだろうか
さて過去の株価推移の分析よりも大事な今後の市況見通しだが、結論から言えば日米等主要国の株価は、今後も基調としては「保ち合いに毛が生えた程度の上昇」がずっと続く、と予想している。これは「基調としては」ということであって、短期的にはもちろん株価の上下の振れは、時としては大きく出る可能性がある。
ただ、基調として緩やかな株価上昇傾向だとすれば「売りから入って儲けよう」とか、「大きく株価が下がってから買いに出よう」、ということはあきらめて、コツコツ現物を買い溜めていった方がよいだろう。逆に、買ってから株価が下振れしても、年末の時点では、今よりは株価が高位置にある可能性が高いと見込んでいる(これは、日米等の株式市況全般、という意味であって、個別銘柄の場合は必ずしも当てはまらない)。
こうした「暴落も暴騰も起こりにくい」、という見通しをセミナー等で語ると、しばしば「つまらない予想ですね」という感想をいただく。ただ、筆者は、別に血沸き肉躍るような株価の急変を語りたいわけではなく、買い煽りや売り煽りを行ないたいわけでもなく、派手な予想数値を前面に押し出して有名になりたいわけでもない。
株価が大きく上がると見込めばそう語り、大きく下落すると予想すればそう主張し、上にも下にも大きくは動かないと分析すればそう唱えるだけのことだ。少し前まで日経平均が1万6000円に下がる可能性が高い、と述べていたのも、単にそう予想したからに過ぎない。
株価が大きく上下動しにくくなっている理由とは?
それはさておき、大きく上下動しにくいと考えるのは、次のように好悪双方の材料が綱引きをすると見込んでいるからだ。
好材料としては、1)世界的な経済活動再開への動き、2)治療薬(既存薬の転用も含めて)やワクチン開発への期待(市場は期待を織り込むので、そうした薬やワクチンの大量製造まで時間がかかるとしても、株価は先行して上昇しうる)、3)主要国で打ち出されている経済対策による、資金繰り倒産などの回避、といったものが挙げられる。
一方、悪材料となりうるものとしては、1)経済活動再開による、新型コロナウイルス流行の再燃(多少流行がぶり返してまた自粛する、という程度ではなく、これまでよりウイルス蔓延の事態が悪化するような展開)への懸念、2)アメリカ大統領選挙を背景とした、米中関係の悪化とそれが経済に与える悪影響への不安、などが主要な要因だろう。
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